2649年12月2日18時 東叡國 サムハラ③



◇◆◇ー----◇◆◇


同時刻ー--欧州アルビオ連邦領スタンリー総督府(南皿なんべいに位置する)にて。


スタンリー総督:ジェイコブ・S・コールマンは乳香(庶民には到底手を出せない嗜好品)を焚きながら、優雅にクーバ産の葉巻を燻らせていた。


「ん~♪やっぱりコレ、たまりませんねぇ~」

一人呟きながら、書斎で孤独の時間を満喫する。


コンコンコン・・・・扉を叩く音ー。

こんな時間になんであろうか、どうせ侍従が余計な気を利かせて遅めの午後の紅茶ナイトキャップティーでも運んできたのだろう。そう考えて声を挙げる。

「何か用かね、ロイ(侍従の一人)?メアリー(侍女)?」


戸を叩いたものは無言を貫いている。

ギィ・・・扉がゆっくりと開いたかと思うと、そこにはおどろおどろしい防毒面ガスマスクを付け、手には火炎放射器か噴霧器のようなものを持った男が佇んでいた。


「ひっ!」

思わず提督は小さく悲鳴をあげる。


「天誅!(Guilty)」

侵入者はそう叫ぶと、椅子にもたれかかったままの貴人の顔に向け白い液体を噴射した。

即座に泥のような物質は硬質化し始め、ジェイコブ氏の呼吸を阻害した。

「ンフーッ!ンッンーッ!」

吸息ままならぬまま、四肢が痙攣を始める。


30秒も経過すると提督の命の灯はゆっくりと消えていくのだった。




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