終わりに

「魔道祖師」は他に、漫画、ネットラジオドラマ、実写ドラマ化されている。グッズ販売やコラボカフェ、観光などのイベントとの提携などもなされ、何れも好評を得ている。

 この作品に限って言えば、メディアミックス展開は成功を収めている。


 日本では現在、ラジオドラマの日本版が作られ、ドラマも字幕付きで有名大手より提供されている。

 アニメに関しても、日本での展開を望んではいるのだが、少々複雑な心境だ。


 以前、子ども(外国語アニメということに抵抗があるのか、まだ見ていない)から「そんなに面白い作品ならば、日本でリメイクすれば良いのに」と言われたことがある。私は「それは望まない」と答えた。


 残念ながら日本で、このようなものが作れるとは思えない。何しろ「低予算で質の良い作品を作ることができる」と誇らしげに豪語している国だ。これほど細部まで丁寧にこだわったものを作り出すことは不可能だろう。


 吹替版についても、かなり不安を覚える。何しろ、利権がらみの横やりで、散々嫌な思いをした経験がある。話題ありきのキャスティングや、大手レーベルゴリ押し新人歌手が歌う、愛と涙の安っぽい日本版主題歌をつけるのは勘弁してほしい。

 無理に手を加えたり、改変せずに納得のいく形で見せてほしいと願っている。


 時々、アニメ関係の記事やテレビ番組、特に外国作品との比較で「日本のアニメには、他にはない心がある」と述べる人がいるが、随分と心ないことを言うものだと思う。

 メディア自体も、そういう結論ありきで、比較対象を恣意的に選んでいるようにも見える。


 魅力的なストーリーも、細やかな心情を描くことも、多様な世界観も、もはや日本だけの専売特許ではない。後発がどんどん出てくるとは限らないが、低予算で良いものは作れても、優れたものを作ることは難しい。


 旨く、まとまらなくないが、思うところを書いてみた。随分えらそうなことを書き連ねたが、個人的には、ファンとして作品を純粋に楽しんでいる部分が大きい。物語の展開や、登場人物たちの行く末に一喜一憂している。


 こんな体験は久しぶりだ。


(了)

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