第18話 『突然の電話』

<クリス>


「クリスちゃん災難だったわね」

レイラから私達の出会いから今までの経緯を聞いた由美さんが私にそんな労いの言葉


を掛けて抱き締めてくれている。


そうしてそんな状況に?

そう思うのも当然!!

私とレイラがトラックの荷台から降りてから、レイラから今までの経緯を聞いた由美さんが私のそんな生い立ちを聞いた瞬間、私を抱き締めて私の頭を撫で始めてしまったからなの。

レイラといい

由美さんといい


『2人ともスキンシップが多い人達』


「由美さんそんなにも抱き締めてるからクリスさんが戸惑ってますよ」

って引越し荷物を手伝ってくれたもう一人の社員さん・・そう雪乃さんがやんわりと指摘してくれる。

「だって~雪乃~この子めちゃめちゃ可愛いんだもの」

って顔をすりすりしてくる由美さん。

そんな由美さんを見て

「クリスちゃん引いてるじゃないですか~由美さんクリスちゃんに百合属性だって絶対思われちゃってますよ?」


「え~私可愛い物好きなだけだよぉ~こんな可愛い子がレイラの所に来たんなら、私もたまにお泊りしてクリスちゃんを抱いて寝ようかな~気持ちいいだろうな~」


「由美さんそれが百合だって言うんですよ?知ってます?」

「そうなの?」


そんな百合談義がリバーサイドタワーの裏の荷物搬入口で繰り広げられていると、裏の搬入口を開けてもらう為に守衛さんを呼びに行っていたレイラが荷物搬入口から守衛さんと出てきた。


このリバーサイドタワーには入居者用に引越し荷物などの荷物を各階に運び上げる為の業務用エレベータが有り、私達はその搬入口に車を停めて、レイラがこの搬入口から業務用エレベータを使う為に守衛さんの所で手続きをして守衛さんを連れてきたのだ。


「終わったらまた声をかけて下さいね」

と言い残して守衛さんが去ってゆく。

私と由美さんと雪乃さんが百合談義?で盛り上がっていた為かレイラが

「あれ~いつの間に3人とも仲良くなってるの?」

って言葉に


一斉に


「仲良くなんてなってないです」

「仲良くなんてなってないです」

「仲良くなんてなってないです」


と意気投合したみたく同時に言葉を返す私達


「やっぱり意気ピッタリじゃない」


「ぴったりじゃない!!」

「ぴったりじゃない!!」

「ぴったりじゃない!!」


って?

またハモっちゃったじゃない!!

なんでこんなになっちゃった?

そんな事が有った為か由美さんと雪乃さんとも結構仲良くなれて4人で業務用エレベーターに引越し荷物を積み込んで一気に20階の201号室の私が使っていいって言われた部屋に一応運び込んだ。


トラックにリフト機能が付いているとはいえ、チェストとか勉強机やドレッサーなんてレイラが平気で抱えて移動しちゃってたのにはビックリ!!

あんな細い体の何処からそんな力が出てくるのかしら?

ってちょっとビックリ!!


由美さんや雪乃さんはそんなにビックリしていなかったって事は、何時もの事?

なのかな?


でも一番は、やっぱり引越しにちゃんと対応しているビルの設計だよね

荷物の搬入も、業務用エレベータの中に一度で入って一回で20階まで運び上げれちゃった。

全部の建物もこんな風に作ってくれたら引越しなんてあっという間なんだと思うんだけど・・


12時前には引越しも終わってレイラが2人に

「お疲れ様~急に引越しの手伝いお願いしちゃってごめんね~すごく助かったわ。これは言ってた特別手当よ受け取って」


って由美さんと雪乃さんの其々に封筒を渡してた。

早速雪乃さんは封筒の中を見て


「え~こんなに貰っちゃって良いんですか~ありがとうございま~~す」


って満面の笑顔で頭を深々と下げてお礼

レイラの言だからまた・・結構な金額入れたんだろうな~

雪乃さんは短大出で21歳って若さだから若さゆえの行動なんだろうけど、由美さんは流石に貰った封筒は開けずにカバンに入れていた。

由美さんはブランド『レイラ』の副社長さんなんだもんね。

しっかりしてるよね。


でも・・

そんな由美さん・・

何で私を抱き締めているの・・かな?

何か由美さんに私気に入られちゃつたみたいなんだけど・・


「うふっクリスちゃんって抱き心地良い~~私の抱き枕にしたいくらいよ~」

って私の頬に由美さんの頬をすりすりしてきてる。


レイラは時計を見ながら

「もうお昼ね、皆ご飯食べていく?」

って由美さんと雪乃さんを交互に見ながら聞くと


「うんうん食べる~」

「レイラがお料理してくれるの~食べた~~い」


って由美さんと雪乃さん大喜び

「じゃ~ササッと作っちゃうね」

ってキッチンに入り冷蔵庫から必要な食材を取り出してフライパンを出して

食材を刻んでフライパンに

ある程度火が通るとご飯を入れて色々な物を少しづつ加えて・・

う~んこれピラフだね。


同時に真空パックに入ったスープ?を湯煎で温め始めた。

マジックで

『そらまめのスープ』

って書いてある!!

多分レイラがレストランに特注で頼んでいる真空パックされた料理なんだろうな。


うわ~凄くいい香りがする~~

お腹減ってきちゃった


由美さんがレイラが料理するのを見ながら

「レイラって何時見ても手際良いわよね~女子力の差を感じるわ~」

ってちょっと落ち込み気味


あ・・

私もお母さんが亡くなってから・・

料理なんてしなくなっちゃったな・・

お父さん何時も仕事で遅くなるから、結局作らなくなっちゃったんだよね。


ずっとあのまま私が食事を作っていたら・・

そしたらお父さんも・・


『あんな風にならなかったのかな?』


そう・・


思うと少しだけ後悔してしまう。


あ・・レイラの料理もう出来上がりそうかな?

私は由美さんに抱き締められた手を解いてレイラの所に走りより

「レイラ、お皿はどれ使えば良い?それとスープ皿はどれを使えばいい?」

って聞くと

「じゃ~ピラフのお皿は後ろの棚の下から2番目の一番左のお皿、スープ皿は一番下


の棚の左から3番目のお皿でお願い」


ってお願いされたお皿を順次キッチンの台に重ねて置くとレイラがピラフを取り分け


てくれる。

ピラフを4つのお皿に均等に取り分け終わった頃レイラの携帯が


『ブルブル』


『ブルブル』


『ブルブル』



って振動し始めた。

「レイラ後は私がやっておきます。レイラは電話に出てあげて」

ってお願いして取り分けたピラフを盛ったお皿を皆の待つテーブルに運んだ後そらまめのスープをスープ皿に均等に振り分ける。


そらまめのスープって薄緑の綺麗な色をしていて良い香りが漂ってくる。


レイラは・・

「もしもしレイラです。美奈子何か用事?」


・・・



つづく・・・

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