第3話

「ほんっとに疲れたわ」

「おつかれさん、なんでそんなに疲れてんだ?」

「そんなの…」

葵に一言言ってやろうかと思ったがやめておこう

こいつも悪気があってやっているわけではないのがなんとも言えない…

「帰ろうよ、葵」

「わりぃ、今日は静流と遊びに行くんだ。てか、お前も天瀬さんとどっか行くんだろ?」

「え、そんなの聞いてないよ?」

あっちは嘘告だよ?流石にそんなわけないよね…

「そうなのか?」

「そうだr…「天童くん放課後空いてる!?」

わーお、この人絶対狙ってるよね?絶対入るタイミングねらってたよね?

蒼のやつは苦笑いしてるし、こいついつかしばく…

「ねえねえ天童くん!放課後空いてる!?」

「いや今日はバイトだよ。」

「響は今日バイト休みだったよな?」

まじかこいつ、友達を見捨てやがったぞ、おいニヤニヤしながらこっちみんなよ…

「じゃあ天童くん今日ひまだよね!?」

「はぁ、うん暇だけど…」

「じゃあ一緒に帰ろ!」

「え、ちょまってぇぇぇ」

首が、首が締まってるから!?

……………………………………………………………………………

「じゃあ天童くんどこに行く?」

「どこでもいい…」

「じゃあカフェでもいこっか!」

「うん、それでいいよ」

「ねえ、手、繋いでもいい?」

「断るって言ってもどうせ繋ぐんでしょ?」

「へへ、あたり!」

無言で手を差し出す。 あ、やばいこれ恥ずかしいわ。あれ…全然手を繋がないじゃん。まさかからかってた?

めっちゃ恥ずかしいんだけど、よし、さりげなく手をおろそうとした瞬間、

「天童くんの手あったかいね…」

何その顔、ほんとに俺に惚れちゃってる見たいじゃん…

「天瀬さん、ちょっとまってて」

「どうしたの?」

「トイレ行ってくる」

「じゃあここで待ってるね」

(そのまま帰ってくれてもいいのに…)

………………………………………………………………………………

はあ…今からカフェに行くのか、めんどくさいな…さすがに今から勝手に帰るのは失礼だよね…

天瀬さんまってるし、そろそろ行こうかな…

天瀬さんの方に向かうと2人組の男達に囲まれていた。

「ねーねー名前何?」

「一緒に遊ぼーよ、奢ってやるからさー」

「ごめんなさい…人を待っているんです」

「いいじゃん、大丈夫大丈夫」

(はぁ…あの人は5分もしてないのに…そろそろ行ってやるか…)

「すみません、それ俺の連れなんですけど」

「あぁ?この子がおまえの連れ?冗談言ってんじゃねーよ。ほんとは知らねーやつだろ?」

「いや、その人は俺の彼女なんだけど」

「嘘つくんじゃねーよ」

「ほんとだよ。なんで嘘つく必要あるんだよ」

「そりゃ俺らからその子を助けるために…」

「つまりお前らは、迷惑になっているって自分でもわかってるんだろ?」

「そ、それは…」

「ほら、何も言えなじゃないか。行こ、天瀬さん」

あの2人組が飛びついてきそうだったからぼくは天瀬さんを連れて逃げることにした。

「ねぇ…天童くん…さっきのって…」

「?さっきの?」

「その人は俺の彼女だって…や、やっぱなんでもない!」

「?」

「そ、そんなことより早くカフェに行こうよ!?」

「なんでそんなに顔赤くなってるの?」

「ななななんのこと!?」

はぁ、ほんとにこの人なんなんだろう…


ナンパ2人組から逃げて10分ほどたっただろうか。

「まだつかないの?」

「んーもうちょっと!」

もう疲れたから帰りたい…

「ここだよ!天童くん!」

着いたのはおしゃれなカフェだった

「やっとついたよ…」

「とりあえず中に入ろうか!」

「うん、そうだね」

‥‥……………………………………………‥‥………………………

「天童くんは何頼むの?」

「んーDXチョコパフェかな…」

「天童くんって甘党なの?」

「かなり極度のね、天瀬さんはもう決まった?」

「うーん、私は、モンブランにしようかなー」

「じゃあ注文するよ」

「うん、よろしく!」

‥‥……………………………………………‥‥………………………

パフェが来るまではほんとに他愛もない会話をした。

成績はいいのか、大学には行くのか、好きな人、将来の夢…なんかいろんなことを言わされた

特に好きな人はいないって言ったら嬉しそうな悲しそうな顔をしていた。

「あ、きたよ!」

「うん、そうだね」

「一口ちょうだい!」

「やだ」

「えーモンブランあげるからさー」

うっ…どうしよう…

「お願い!だって天童くんがとっても美味しそうに食べるんだもん!」

「…わかったよ、一口だけだからね」

「やった!!」

うん、やっぱりモンブランも捨てがたいな

なんで天瀬さんそんなに赤くなっているんだろう

「間接キス…」

天瀬さんが恥じらいながら言った

「あ…」

やってしまったぁぁぁぁぁぁ!!!!

馬鹿だろ俺!気づけよ!ととと、とりあえず気づいてない風に…

「お、おいしいね、このモンブラン!?」

「で、でしょ!」

「食べ終わったし、か、帰ろうよ!?」

「う、うん!」

「じゃあね!天瀬さん!」

「じゃ、じゃあね!天童くん!」

‥‥……………………………………………‥‥………………………

「な、なんで天瀬さんついてきてるの?」

「だって私のマンションこっちなんだもん」

「そうなんだ、ぼくはもう着いたから帰るね!」

「うん!私ももう着いたから大丈夫!」

「え、おんなじマンション?」

「そうだよ!私も氷室くんから聞いた時びっくりしたんだよ!」

「へ、へえー」

「じゃあね!天童くん!また明日!」

そう言って天瀬は階段をのぼっていった。

「あ、ああ」

まさかの事実にびっくりしながら俺は別れをつげる

‥‥……………………………………………‥‥………………………

はあ、今日はほんとに疲れた…

ピロン!

あーどうせ天瀬さんだろ…

『天童くん今日は付き合ってくれてありがとね!明日も一緒に学校行かない?』

えーまた起こされるの?いやだなー

『いいけど、朝早くから起こしに来ないでね』

『うん、わかった!』

『おやすみ!』

『うん、おやすみ』

はあ…また明日も憂鬱な1日になりそうだ…


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