14.お姉ちゃん


「魔法適正Sです。あなたはSクラスへ」


魔法適正検査を終え、黒服を着た女性から言い渡される。


「かしこまりました。ひとつ質問よろしいでしょうか?」


「はい。どういたしましたか」


「学院手帳を見るとこの学院はSクラスで卒業しなければならないとありますが、CクラスやBクラス、Aクラスの生徒はどのようにして上へ上がるのでしょうか?」


「この学院は魔法が全てです。決闘で勝負して勝てばSクラスへ負ければ退学です」


「負ければ退学ですか」


「えぇ、魔法士の世界では負ければ死を意味します。ですので、再戦は与えられることはなく退学です。学院の決まりですのでご理解ください」


「お応えありがとうございます。了解致しました」


言い終えると、黒服を着た女性は魔法適正検査官として持ち場に戻っていった。


私もその場を後にし、体育館から出ようとしたとき、後ろから声がかかった。後ろを向いたら人差し指が待ち構えており、ほっぺに当たった。


「ねぇ君、アレスくんだよね」


赤髪の少女はどこか私を見透かしているかのような雰囲気を漂わせ、笑顔でこちらを伺う。


「どちら様でしょうか?」


「忘れちゃったかな?昔、君のお世話してあげてたのにな」


「昔の記憶は思い出せないのです。私のお世話をしていただいたというのにそのご恩を忘れてしまっており、申し訳ございません」


「あはは、昔からアレスくんは変わってないな〜。そのやたら礼儀正しいところとか誰に対しても敬語なところ。まぁ、でも忘れてたのは残念だけど、これからよろしくねアレスくん。1年先輩のおねぇちゃんだからなんでも頼ってね」


「ありがとうございます。頼れる存在がいるというだけでも救いになります。これからよろしくお願いします。名前は、えっと、、」


「サクヤ・ドールズ。サクヤおねぇちゃんって呼んでくれて大丈夫だよ」


「えぇ、ではサクヤ様、よろしくお願いします」


「あははは、この学院は少し狂ってるから気をつけてね。じゃあねアレスくん」


「はい、またお会いしましょう」


「あっ、ちょっと待って言い忘れたことがあった。アレスくん、おねぇちゃんと一緒にお風呂入って洗いっこしたことも忘れちゃったのかな」


最後にサクヤ様はニヤついた顔で私の耳元で囁くと、ほおを少し赤らめて体育館を後にした。

少し、ドキッとしてしまったことは誰にも言えない秘密だ。




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これから頑張って続き書いていきますので応援よろしくお願いします。

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王女様の執事だったけど、魔法学園に入って王宮魔道士にならないと専属執事になれないと言われたのでなりふりかまっていられません 神崎夜一 @guiltycrow

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