13.感謝


私は様子を伺っていましたが、戦闘にならずに済んで良かったです。もし周りに被害をもたらす身勝手な戦闘が行われたら私も対処の方法を考えなければいけなかったところです。

私はエーシアにセーリアのところに向かうと改めて伝え、その場を後にしました。

すると、セーリアの綺麗な赤髪が見えたので声をかけます。


「セーリア様。先程はありがとうございました。おかげでエーシアときちんとお話しすることができました」

「い、いいんです。私がしたくてしたことです。セレス様はお気になさらないでください」

「執事たるもの感謝の心は忘れてはいけません。ですので、それが小さなことでも大きなことでも私にできる恩返しをさせていただけますか?」

「かぁわわ。そ、そんなアレス様に何かしてもらうなんて悪いです。私はそのアレス様のお気持ちだけで十分うれしいです」

「わかりました。ですがもし本当にお困りのことがありましたら私にお声がけ下さい。すぐさまセーリア様の元へと駆けつけます」

「はい。そのときは是非頼らせてもらえいます」

「ありがたきお言葉。では私は魔法適性検査に行きますので、またお会いしましょう」

「はい!」


「セーリア、少しはお近づきになれたんじゃない?」


アレス様が見えた途端私とアレス様がお話しできるように知らないふりをしていた私の親友リリカは肘で突きながら私に聞いてきた。


「少しはなれたかな」


私はアレス様の後ろ姿を見送りながらそう呟いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る