12.戦闘
「エーシア。私はセーリアの元に行き、感謝を伝えてこなければいけません。もし良ければもう一度セーリアと会いませんか?エーシアには無理強いはしませんのでどちらか教えていただけると嬉しいです。それと私はすぐに戻ってくるので心配はいりません」
セーリアは嫌な顔一つせず、エーシアを追いかけてさせてくださった。その感謝の意を伝えなければ執事としてダメだと思います。なので私は行きます。
「あっ、え、えっと。や、やっぱり。私貴族と仲良くすることに気持ちが晴れない。会ったとしても私は本当の笑顔で笑えない。アレスが紹介するセーリアって言う子が悪い人なんて全く思わないけどダメ...」
やはりエーシアには深く、とても深い傷が心の中にあるのではないかと思います。
私はその傷を少しでも救ってあげたい。
「エーシアのお気持ち教えて頂きありがとうございます。私はすぐに戻りますのでここに居て下さい」
「うん。アレスありがと」
私とエーシアのやりとりが終わろうとしていたとき、体育館中に響き渡る声が聞こえてきました。
「なぁ、おめぇーら。魔法適性検査というゴミみたいなことしないでここで殺し合おうぜ。どうせ王宮魔道士になるためには殺し合わないといけないぜ?」
制服のボタンを外した着崩した姿で学生の前へと彼は立ちます。髪型は金髪ロング。かなり怖い表情をしています。ポケットに手を入れて彼は殺気を放っています。
「頭悪いこと言いますわね。無駄な争いに乗るほど私はバカではありません」
学生の中にいた少女が向かい合います。
その少女は金髪ロングなのですがクルクルと髪が巻かれていています。
「なんだお前。俺は育児なしには興味ねぇー。やりたい奴だけやろうぜ。なぁ?」
彼は周りの生徒を見渡して挑発をしています。
「だからそういうのは外でやってもらいますか?周りの迷惑も知らない家畜風情はここから立ち去りなさい」
「バカが喚いてるな。何もできないクズはそこで黙ってみてろ」
「今私を侮辱しましたわね!?お、お父様が許さないわよ!あなたをこの学園から退学させて、貴族身分を剥奪するわ!」
「知ったもんか。ならここで殺すぞ?」
「なっ!?」
少女が彼の言葉に怖気づいるときにさらに学生の中から声が響き渡りました。
「あははははははははははは。そんな安い挑発に私が乗るのは許容し難い。だが、私は貴様みたいな自信に溢れている奴をいたぶり殺すのは賛成だ。まずは私とワンオンワンをやらないかね?」
金髪の髪をオールバックにするその少年は堂々と発言します。
「あぁ良いぜお前。そういう肝が座っている奴は嫌いじゃねぇー。ただ一つ間違っているぜ。俺は誰にも負けねぇー。お前をいたぶり殺すのはこの俺だ」
「最高だ。やり合おうか」
「あぁ。ひとまずー」
と彼が何かを話そうとしたときに先程魔法適性検査の説明をした女性が慌てて出てきました。
「ま、待ちなさい。学園での決闘は認められていません。決闘する際は決闘場または地下深海部で行って下さい。そこで行う分には学園は一切関与しません。なのでまずは魔法適性検査をするので直ちに戦うことはやめて、ついてきてください」
「そんなもんは知らねぇーよ。俺はルールに囚われない」
「あぁ全くだ。それに関しては私も同じ感想だ」
「学園内でもし殺傷事件や喧嘩が起こった際には加害者、被害者の有無に関係なくどちらとも退学になります。これは王宮からの申し付けであり破ることは禁じられおります」
「くっ、そ。もういいや。興醒めだ」
「私も退学にはなりたくはないからねぇ。ここはひとまずやめといたほうが良さそうだ」
両方そう言いひとまずこの騒動は収まろうとしていたが、クルクルロングの少女が侮辱された少年に歯向かう。
「ねぇ、貴方の名前を教えなさい!侮辱された罪。絶対退学にさせてあげるんだから!」
「あぁ良いぜ。強気な女は嫌いじゃねぇ。俺の名前はクレブス・グリーンウッドだ。ただ俺は退学にならねぇ。もし退学させようとしたら俺はお前を殺すからな」
「ふんっ」
踵を返し、少女はその場を後にした。
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