11.魔法適性


その学園長による挨拶が終わると再び体育館がざわざわし始めました。

けれど上級生たちは静かのままその場を後にします。この学園で1年学んだことで落ち着いたのでしょうか。それともこの学園に慣れてしまったのでしょうか。

そして、学園長の後に黒服を着た女性が教壇で発言します。


「これから魔法適性検査をしますのでこの場から動かぬようお願い致します。また、魔法適性の高い順からクラスを分けて行きます。下のクラスになられても日々の成長で上のクラスへとなることはできますので、諦めないことをお勧めします。では、しばしお待ち下さい」


深くお辞儀をし、黒服を着た女性は姿を消す。


周りはまた騒ぎ出しました。不安で落ち着きがない感じが体育館中に漂っています。


「ねぇ、魔法適性って、私どうなのかな?」


隣で聞いていたエーシアが私に聞いてきました。


「エーシアの魔法がどれくらいなのかわかりかねます。ですが私はエーシアを不安にさせることはしません。なので安心してください」


「そ、そうね。何かあったらアレスに頼るわ」


「嬉しい限りでございます」


私は何もアレスにはしてないのにアレスは何の見返りも求めないで私にそう言うことを言ってくれる。


「これだからアレスは...平然と恥ずかしいことを...」


私は少し恥ずかしくなって顔を背けてしまいました。


「何かおっしゃいましたか?」


「ア、アレスは鈍感って言っただけよ」


「それはどういう?」


純粋な目で何のことは全くわからない表情でアレスは私の言葉に疑問を持っている。本当アレスは純粋無垢ね。


「もうっ。アレスは知らなくていいっ」


もう私はアレスなしではダメなのかもしれない。

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