2.野菜屋の少女


城の門を潜ると王都の街が一面に広がる。沢山の人の方が歩いていたり、色んな店で賑わっている。


私は王女様の執事の役目を今日限りで辞めた。というのも元々王宮の専属執事は15歳になると魔法学園に入学することが義務付けられている。そこで魔法や剣について学びゆくゆくは王宮魔法士にならなければならない。もしなれなければ私は一生王女様と再会することは叶わないのだ。

私が商売街を歩いているとお声がかかった。


「あらアレス様!今日は王女様とご一緒ではないのです?」

「えぇ。王女様の執事をやめましたので」

「それは残念ですね。ならもうお越しにならないのですか?」


金髪碧眼の少女は野菜屋の店番をしていていつも笑顔で気さくな人だ。それなりに付き合いは長く、野菜を買うときはいつもこの店を利用させてもらっている。その時は変装した姫も居るので1人で出歩く私を不思議に思っているのだろう。


「いえ、リーナ様にはお世話になったのでこれからも私だけになりますがよろしくお願いします。それにここの野菜とても美味しいです!他の店で買うなんてあり得ないです!」


私は少女の手を取り、思いを告げると少女は何故か頬を赤くした。


「そ、そうですか!あ、ありがとうございます。アレス様にそう言われると凄く照れてしまいます。これからもご贔屓によろしくお願いします!」

「えぇ。もちろんです!」

「あ、あとトマト1つ下さい」


野菜屋に来て野菜を買わないの失礼だと思いリーナ様に注文する。

トマトを差し出されると小さな袋から金貨を渡す。姫から袋一杯に金貨を貰えたので有難く使わせてもらう。


「ありがとうございます!」


そうして、トマトとお釣りを受け取り俺は魔法学園へ歩みを進める。今日は魔法学園の入学式。正直、私の魔法を発揮出来ることにワクワクが止まらない。

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