Report26: 終息
ロジーの方はというと、一先ずラッシュの元へ走っていた。
ラッシュが取り逃した、タカのような目の男が、自らに迫るヒゲモジャの中高年――即ちロジーを見定める。
「お前は知っているぞ、“変態スカトロ野郎”、ロジーだな!?」
「フン、くだらん……」
ロジーは短く吐き捨てると、拳銃を取り出し発砲。タカ男もすかさず発砲し、お互いに障害物の陰に身を隠した。
ロジーはゾフィを見やった。すると、エレベーターから現れたテロリストが全員、ゾフィの方へと向かっていくのが見えた。
(恐らくテロリスト共はこれで全員……。だとすると、ここで一発使っておくのも一興、か)
ロジーは懐から何やらブツを取り出し、タカ男へと放り投げる。それを見て一瞬、ギョッとしたようなタカ男であったが、すぐに落ち着きを取り戻したようだった。
「……ハハッ、俺は知っているぞ! それが、動物のウンコだって事をな!」
看破した物言いで、タカ男は笑っていた。綺麗な放物線を描いて、ブツは地面へと落下する。そしてタカ男の近くへ、コロコロと転がった。
だが、一拍置いてから爆発が起こった。銃声と怒声に呑み込まれた戦場で、一際大きな音と煙を上げていた。爆発の火中に居たタカ男の体は吹っ飛び、肉片が四散していく。
「フン、手榴弾だよ、バカヤロウ……」
黒焦げになった肉塊をチラリと確認すると、ロジーはラッシュの下へと駆け寄った。血を流している。しかし、呼吸はあった。
ラッシュが気絶しているだけだと判ると、回線に連絡を入れた。
『ロジーだ。こっちは片付けた。ラッシュは無事だが、そっちはどうなっている』
『こちらゾフィ……! 乱交パーティの最中だ! メガミはァ!?』
『私だ。社長婦人と息子は無事ゲートを抜けた! あとは警察に任せる! テロリストが退かないようなら已むを得ん、制圧しろ!』
『『了解!』』
ロジーは、負傷したラッシュの肩に腕を回し、安全な場所へと撤退していく。
『ゾフィ、援護する』
『サンキュー、助かるぜ!』
テロリストと継続戦闘中のゾフィの下に、メガミが助太刀に入った。膠着状態であったが、テロリスト達の後ろから接近していたメガミが、勢いよく飛び掛かった。
振り返ったソイツの顔を横合いから殴りつけ、馬乗りになって押さえつける。そして、隣に居たもう一人に向かってグロック17で銃撃を浴びせた。
メガミの存在に気付いた残りのテロリストは、M16で突撃してきたゾフィによって蹂躙されてゆく。
「お前のボスは何者だ!」
「いい加減、降参しやがれッ!」
メガミが馬乗りになったまま詰問した。ゾフィも、残存したテロリストに銃を向け、降参を勧める。
「くっ……! あ、明るい未来を……ッ!!」
「この国に、明るい未来をッ!!」
メガミに拘束されていたその男は、舌を自ら噛み切った。驚くメガミを余所に、他の襲撃犯達も自殺を図った。AKライフルを己の喉元に突き付けると、躊躇なく引き金を引いた。
「クソが……どうなってやがる!!」
ゾフィが激昂し、大声を出した。彼らは血を噴出し、バタバタと倒れていく。情報の収集の為、生け捕りにするつもりだったが、自害してしまった。
「胸糞悪いな……」
人は舌を噛み切ったくらいでは死なない。メガミによって押さえつけられていた男は絶命こそしていないのだろう。だがしかし、メガミは酷く不快感を露にするのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます