第21話 刑事に依頼
彩史 愛夢を自殺させずに助ける。
先生はいじめや虐待から守る。と、いう事だと思っているだろうが俺の役目は彼女を死なさずに生きてもらうこと。
そのためにはまずいじめや虐待の証拠を見つける必要がある。だが、怪我をしている今の状況で外に出ることは不可能。できることは1つ。
「それは……」
「それは……? 」
「俺の必殺技……」
「ひ、ひっさつわざ……? 」
「喰らえ……! スーパーハイパーウルトラデラックスデュクシ! 」
カチ。
「……ってナースコールじゃないですか。それなら私にもできますよー」
そう、動けない俺たちの最強の味方は看護師だ。
それからすぐにお姉さん……ではなくおばさん?
……とにかく40代くらいの看護師が来てくれた。
「どうしましたかー? 」心配そうに俺の所へ来てくれる看護師さん。俺は少し明るい表情をして
「電話を貸してくれませんか? ……少し話したい相手がいまして」
叩かないようにそっと手を合わしてお願いする。
「分かりました……ちょっと待っててください」
看護師は笑顔で病室から出ると5分後くらい後に携帯電話を渡してくれた。俺はそれを受け取り近く棚に入ってる1枚の紙を取り出した。
「なんですか? それ」花優が軽く身を乗り出して俺の持っている紙をじっくり見てる。
「これは俺がこの病院に来た時に話を伺いにきた刑事さんの電話番号らしい。『何か話す気になったら呼んでくれ』だとよ」
病院に来たばっかりの俺は警察の話なんて何も聞かずに黙り通していた。そのせいで諦めて電話番号をくれたと言う訳だ。
「でも、これでどうするんですか? 」
「まずはその刑事さんにここに来てもらって話を信じてもらえるか試してみよう」
「なるほど……でも、もし虐待をしてなくてあの怪我がクラスメイトがやったものだとしたら歩呂良くんの友達が捕まっちゃうかもしれませんよ? 」
「あんなのは友達じゃない。ただの顔見知りだ、俺は学校に友達なんていないからな」
花優はえー、と言っていたが本当に友達はいないし必要な存在でもないと思っていた。まあ、そんなことはどうでもよくて……俺は紙を見ながら電話番号を入れていく。
最後の電話番号を入れた途端、電話がかかった。
『もしもし、夢似ですけど』
『……あ〜夢似くんか。おっ、喋れるようになったんか、おじさんのことが忘れられなくなっちゃったのかな? ガッハッハッ』
『いや、そんなんじゃないっすけど、てか元から喋れますけど……』
『おっと……悪ぃ悪ぃ、喋れたわな……電話をかけてきたっちゅうことは……何か話してくれるんやろ? 』
『あ、はい、電話だと話にくいのでこっちに来てもら……』
ピーー。ピーー。
え? あのおっさん切るの早くないか?
本当に来てくれんのか?
「どうでした? 来てくれそうですか? 」
「……ん、ああ多分、来る……と信じたい」
「な、なんでそんな微妙な反応なんですか……」
俺は看護師を呼び携帯電話を返した所で……
「こんちはー! 夢似くん元気そうやな! おっ? お嬢ちゃんとも仲良くなったんか? 手、出すの早えーなー。あ、手怪我しとるんやった! ガッハッハッ! 」
めっちゃうるさい人が来たと思ったら刑事さんだった。……俺と電話してたのが3分くらい前なのに来るの早すぎでしょ……。絶対暇してたな。しかもあんなでかい声で喋ったら他の患者さんまで聞こえてそうで迷惑だしこっちまで恥ずかしいし。
「てか、なんでそんな早いんすか……」
「んー? ああ、今近くの店でラーメン食っとったんや。そしたら夢似くんから電話来てなー、びっくりしたわ」
それにしても早すぎだろ……どんだけ暇だったんだよ。「まあ、とにかく座ってください」
そういって椅子を出してやる。
「気がきくな。前はあんなに何も喋んないオタンコナスだったのに、本当はこんなにいい男だったのか……」
誰がオタンコナスだ……もうつっこむことしかなくて彩史さん以上に疲れる……
「刑事さん。突然で悪いんだがあんたの階級っていうか仕事上での身分ってどの辺だ? 」
「なんだ? 突然……まあ、そこらへんの交番に勤務してる巡査や。階級でいったら一番下やな」
「じゃあいい成績を収めてそこらへんの人にチヤホヤされたくないか? 」
俺は右の口角を少しあげ悪役のように鼻で笑い挑発する。
「……何を企んでる? 」
刑事さんもさっきとは打って変わりこちらを睨んでくる。
「俺を助けてくれたり事件を調べてくれた人達にお礼がしたいんだよ」
「……ほう、それで俺の評判を広めたいと……俺に何をしろって言うんだ? 」刑事さんは俺をかなり警戒しており顔が少しこわばってきているがこの人は話が早くて助かる。
これからのことがスムーズに行ってくれればいいがな……。
「そうだな……簡単に言えば、ある人物を捕まえてほしい。疑いは100%……実の娘を死に追い込んでいるやつだ」
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