第152話 うつむくその背中に痛い雨が突き刺さる
「あのー、リューバさん?」
俺は疑問に耐えられなくなって尋ねる。
「何でござるか?」
そう答えるリューバさんに。
「もしかしてそのござる口調ってわざとやってます?」
と素直に疑問をぶつけてみる。
「おー!よくわかったでござるな!
実はこれ市政に溶け込むために訓練したのでござるよ!
サムライ言葉が市民に馴染んだのはこのござる口調、隠密としてバレないために学んだ百年続く必修科目でござる!」
そう言って胸を張るリューバさんに俺は言わなければならない...。
「あの...リューバさん?
その口調が流行ったのって百年前の話なのでは?」
そう言って周りの人々の声を聞く様に促すと...。
「しまったぁぁぁぁ!」
リューバさんは膝から崩れ落ちた。
「はいここからござるやめまーす」
なんか不貞腐れた感じでそう言うリューバさん。
「だいたいおかしいと思ったんだよ、忍んでいるのに俺に対してみんな「ご苦労様です」って挨拶するんだもん、あれってお勤めご苦労様ですって意味ですよね?」
なんか吹っ切れたのか砕けた喋りになるリューバさん。
「まあキョースイさんはござるじゃなかったですもんねぇ...ああ言うキャラでもあるんでしょうが」
俺がそう言うとリューバさんは。
「あいつは最初からあの喋りのままだったからなぁ。
でもあいつが「もうござる口調なんか流行ってないわよ」って言ってた事もあったが、てっきり自分の口調を正当化するためだと思ってたからなぁ...。
うん、あいつが悪い」
なんか吹っ切れ過ぎてないかと思いながらも俺たちはリューバさんに案内されて都の中心部...城に着いた。
謁見の間に通された俺たちは。
「ショーグン様が来るまで頭を下げておいてくれ、「面をあげい」と言われるまでは悪いがそのままで頼む」
そう言われて全員で顔を伏せて待った。
「ショーグン様の...おなーりー!」
その声に再度気を引き締めて顔を伏せていると。
「殿!通訳の出来る客人をお連れしました!」
というリューバさんの声に。
「おや?リューバよ、ござるはどうした?」
というショーグン様の声に。
「はっ!時代に即していないと判断して先程辞めたところでございます!」
とリューバさんが答えると。
「えー!リューバがござる辞めちゃったら時代がかった喋りボクだけになっちゃうじゃん!
じゃーボクもこの口調でいくー!」
ショーグン様が急にバーローとか言いそうな声でそう言った、あれ?さっきは重厚な声じゃなかった?
「申し訳ないでござる!何卒威厳のあるお言葉でお話しくだされ!」
と、リューバさんは言うのであった。
ござる復活!
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