第151話 山を飛び谷を越え
「なんだ...これ?」
魔力欠乏の失神から目を覚ました俺が見た光景は...夥しい数の魔物の死体だった。
『おはようございますヨーイチ様』
と言うマリアの呼びかけに被って。
「だーら!深追いすんなってアイちゃん師匠が言ってるし!みんな戻るし!」
というマイさんの声が重なった。
「俺が気絶してる間にそんな事が!?」
みんなに話を聞いて俺は驚愕した。
そこで起こっていた危機とそれを撃退したみんなの強さに。
リューバさんが守護の人から聞いた話によると唐突に現れた魔物の群れに都に入る審査の列を急遽収容して跳ね橋を上げた途端に更なる魔物が現れ大暴走を始めたそうだ。
既に跳ね橋を上げていた為通用口がわりの狭い橋だけに戦力を集中できたおかげでなんとか耐えていたがもう持たないと思ったところに俺たちがやってきた...と言う事らしい。
まあ俺は気絶してただけなんだけど。
そこからは勇者パーティの面目躍如の活躍で大きく魔物の数を減らした所で残党が撤退し始めて...俺が目を覚ましたということらしい。
「しかしおかしいのでござるよ、この魔物もあの魔物も普段この辺りでは見かけない魔物なのでござる」
魔物の死体を指差しそう言うリューバさんに。
「そうなんですか?じゃあこの魔物はどこから?」
俺がそう聞くとリューバさんは。
「ここよりもっと北、冬は雪深くあまり人の住んでいない地方の魔物でござる、ほら!体毛が異常に長いでござろう?」
言われて見てみると猿の様な魔物は黒い雪男みたいだし牛なのか馬なのかわからないやつはまるでアルパカの様に毛が生えている。
『ふむ、北か...嫌な予感がするのう』
アイさんの言葉に俺も頷く、北と言うことはとうとう魔王の影響が出ているのかもしれない。
「まあ何にせよ皆のおかげで当面の危機は去ったでござる、殿にも報告せねばならんのでとりあえず都に入るでござるよ」
そう言われて跳ね橋を下ろしてもらおうとしたのだがアイさんの。
『いや、万が一さっきの魔物どもが戻ってきたらまずいじゃろう?マイよ、ポーチにジムニーを』
確かに一度降ろすとまたあげる間に魔物が来てはまずい為マイさんがジムニー一式をポーチに収めた所で通用橋から都に入らせてもらった。
堀の内側にそびえる高い壁についた通用口から都の中に入ると一気に歓声が上がった!
「おいおいなんだあの嬢ちゃん達!?」
「魔法に剣に恐るべき強さだったな!」
「だがあの男はいつ現れた?戦闘中はいなかったよな?」
悪いな、俺は気絶してたんだよ!
そして俺は驚愕の事実に気づいた。
みんなござる言葉じゃない...だと!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます