第149話 姉は一級建築士
「みんな乗ったな」
声をかけて俺は
ナビという事で助手席にはリューバさん、後部座席はカリンとマリアだ。
人数が増えた事もあるのだがカリンとラビを車内と幌馬車に分ける事で何かあった際に叫べば普通に声を出すより通訳魔法の方がはっきりと意思疎通出来るという事がわかったからだ。
『でもラビちゃんお膝に乗せたかったなぁ...』
カリンはそう呟くが初めて行く場所だし何かあったらいけないので我慢してもらおう...休憩の時にいっぱいモフモフさせてもらいな。
おそらく幌馬車の中ではローズさんが膝の上に載せてるんだろうなぁ...。
などと考えつつ他の旅人や馬などの邪魔にならない程度にかっ飛ばす。
「いやはや本当に速いでござるな」
昼時、予定通り旅程の半分の町までやってきた俺たちは食事と休憩のため町に立ち寄った。
ざっとここまで200キロ超、もう半分燃料は保つとは思うけど万が一を考えてのマリアである。
前回の教訓を踏まえてリューバさんには燃料切れで俺が倒れる事は言ってある。
「摩訶不思議な事もあるものでござるな...流石は勇者一行という事でござるか」
そんな事を言っていたが俺自身は倒れたくはないんだけど仕方がないだろう。
お昼は各々定食で済ませたのだが俺が食べたサバの干物定食が無茶苦茶美味かった。
というかこっちに来てから魚の名前などに齟齬がないのはとてもありがたい。
『でも本当サンブックって平和ね、幌馬車でいつ出番が有るかって緊張してたけど魔物一匹出ないじゃない』
あ...。
なんかそういうの最近あった気がしたけど...まあメリルは俺と違って一級フラグ建築士ではないのできっと杞憂だろう。
そう思っていた時期が俺にもありました。
『魔物でござる!』
リューバさんの叫びをカリンが訳す!
咄嗟にジムニーを止め
幌馬車からは近接組が飛び出している!
「奴は大ガマ!蛙と同じように舌を伸ばして来るでござる!体の粘液は毒を帯びているので素手で触ってはならんでござる!」
それを聞いた剣士組は気を引き締めた表情になり構える!
そこに飛んでくる舌!だがそれをかわして一気に刻む!
と思った瞬間舌は不可解な動きをしながら本体に一瞬で戻る!
こいつは手強いな!
そう思った俺は舌が飛び出した瞬間に全開まで引いた弓を大ガマの眼に向かって放つ!
タスッ!
見事的中した矢に大ガマは目を押さえてのたうち回る大ガマ!
チャンス!とばかりに舌を切り刻む剣士三人!
そこへ!
「...
禁呪を歌い終えたマイさんが唱えた!
いややりすぎじゃない!?
「まあ、道は広くなったでござるな...」
前方に広がる魔法の後にリューバさんが呟く。
「ちょっとマイさん!なんで禁呪なんか?」
問う俺に。
「考えてみたらあーし練習でしか使った事ないから実戦でやってみようと思ったのと...みんなが毒になっちゃったりしたらヤじゃん...」
そう言われたらしょうがないな...なんだかんだで優しい子なんだよな。
「それに、あーし知ってるんだ!あのヌルヌルのベロに捕まったらきっとエロい事になるんだ!あの薄い本みたいに!あの薄い本みたいに!」
おいおい誰だよ病気療養中のお嬢さんに薄い本渡したのは!
※本屋で普通のアンソロジーと思って買ったマイさんの母親です。
「まあ被害がなくて良かった...」
そう言いながら振り向いた俺の目にうつったのは...。
『あんまりですわぁ!』
切断された舌の粘液でビチョビチョに濡れた(意味深ではない)マリアだった。
せっかく最近真面目にやってるのに...そういう星の元に生まれてる子!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます