第145話 なんだか毎日つまんない?

 何故だ!?どうしてこうなった!?

 俺は頭を抱えていた。

 サンブック到着を翌日に控えワクワクしていた俺たちだったが次第に空には暗雲が広がり一気に嵐の様相を見せ始めた。

「ヨッチ...」

 マイさんが呆れたような顔でそう呟いた。

 いや確かに俺が言った言葉は若干フラグめいていたことは認める。

 でもこんなに的確に拾ってくる事ないじゃないか!?

 俺がそう唸っていると。

「さっき何って言ったっけ?天気が良くて...魔物が出ない...だっけ?」

 やめてー!復唱するのはやめてー!

 突然の嵐に俺たちは全員船室に避難している、もちろんリューバさんもだ。

 しかし大雨と風の中船員さんたちは監視と舵取りのため甲板船室を行ったり来たりしている、もしこれがおれの発言フラグのせいだったりしたら申し訳なさに心がする切れてしまうので追求するのはやめて頂きたい。

 そんなこんなで忙しなく行き来する船員さんたちに心の中で。

「すまない...すまない...」

 と、どこかの吸血鬼の島の師匠のように考えて居ると。

 カンカンカンカン!

 と、甲板から鐘の音が聞こえた。

「船長大変です!進行方向に不審な影が!」

 と、船員さんの一人が船室に駆け込んで来てリューバさんに言った。

 と思った瞬間もう一人船員さんが駆け込んで来て叫んだ。

大王イカクラーケンだ!」


 俺たちは急いで甲板に飛び出した!

 すると目の前には船と同サイズの大きなイカが海面を割って出て来ている所だった!

『ヨーイチ!やつは強靭な触手で獲物を捕まえにくるぞ!?騎士組剣を抜け!

 カリンは火属性魔法で触手を追い払うのじゃ!」

 アイさんの叫びにみんな戦闘態勢に入る。

 騎士二人とメリルは剣を抜きカリンは呪文を唱え始める!

 俺はマイさんのポーチから相棒2号ヘイズを出してもらい最大まで弓を引く!

 きっと短矢の散弾だと効果は無いだろう。

 その瞬間右舷から一本の触手が俺の隙を突いて伸びてくる!おいおい触手のくせに美少女たちを無視しておっさんを狙ってくるとは何事だ!?

 そう思いながら避けようとしたがあまりに近くに現れた為回避が間に合いそうに無い!

 これが不用意な発言フラグに対する罰だったらキツすぎねぇ!?

 と思った瞬間!

 ドゴン!

 と、音を立てて触手が離れた!

『ヨーイチ、平気かしら!?』

 そこにはお姉さんモードになり、蹴りを出した後の姿勢のラビが立っていた。

「助かったよ!ありがとう!」

 俺はそう言って体制を立て直し飛ばされた触手に向けて矢を射る!

 しかし岩に突き刺さる威力を持ってしても触手の一部を吹き飛ばす事しかできなかった!

「みんな!気をつけろ!

 この触手死角を狙ってくるぞ!」

 俺の声にみんなは放射状に船外を警戒する態勢に移行する。

 そこからの戦いは長かった。

 現れたそばから騎士姉弟やメリルの剣、カリンの魔法で攻撃していくがイカ型の魔物だけあって一部を吹き飛ばしたり切り裂いてもなかなか攻撃が止まないのだ。

 イカと同じならこの触手が10本はある計算になるのでまだまだ倒すことはできそうに無い。

「雷光斬!」

 触手の隙を突いてマイさんが本体に雷の斬撃を飛ばすがいかんせん船と同じほどの巨体、ダメージは低い。

 アイさんに言わせると雷の呪文は大王イカクラーケンに効果抜群と言うことだがそれでもこの程度か!

『目じゃ!目を狙うんじゃ!』

 と、アイさんに言われたマイさんが。

「雷光斬!」

 と、目を狙うが触手の一本がそれを庇う?しかも海中から飛び出した触手は海水で濡れている為アースの効果があるらしく雷撃の効果は落ち未だ触手の一本さえ倒せていない。

 甲板の上には数本の触手が襲って来ているがその一本一本がまるで別の魔物のように動き回る、あの本体の目だけじゃ追えないだろうに!

 そう思っていた所また俺を狙う触手が現れたがラビがガシッと弾いてくれた瞬間に見えてしまった!

 触手に付いている目を!

 その目は俺をギロリと睨むと触手は一旦離れた。

 なんか寄生獣に出てくるような目ん玉だけが皮膚上に付いた感じだった、気持ち悪っ!

 船員さん達も立ち向かっているが普段小型の魔物相手に使っているような銛や刀では大きなダメージを与えられないようで苦戦している。

 だがその抵抗が功を奏したのかいまいち攻めきれず動きの悪くなった触手に。

『アイスランス!』

 カリンの氷魔法が直撃して甲板に凍りついた!

 機を見て敏なり!船員さん達は甲板にあった船の応急処置用の木材の方にかけ出した!

「丸太は持ったか!?」

 一人の船員さんの掛け声に。

「おう!」

 と、他の船員も応えて全員で丸太を持って凍りついた触手に突っ込んだ!

 砕けた触手を見て俺は思わず。

「でかした!」

 と叫んだ!

 残りの触手...9本!

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