第143話 子供だなんて思ったら大間違いよ女の子
「そうか、順調にいけば片道3日で着くんですね」
俺は甲板の上でリューバさんに聞いていた。
「そうでござる、積み下ろしの予備日を含めて7日に一度定期便として往復しているのでござる」
『それにしてもこの船は速いですね、港で見たことがある船とは大違いです』
ノヤーロ君は目を輝かせて言った。
元々内陸のセイゴの街に常駐しているから船自体あまり見ないだろうし。
「地層内には水が豊富だから井戸があれば問題無いみたいだけど川も湖も無いしな」
俺がそう言うと。
「それを聞いて驚いたでござるよ、拙者ソマリンから動けないので聞いた話でござるが川も湖も無い土地はあるとは思ってもみなかったでござる」
リューバさんの言葉に俺は。
「と言うことはヒノモトには普通に川があるんですよね?」
そう聞くと。
「もちろんでござる、少々山が多いでござるが植物も豊富で四季が美しい国でござるよ」
うーん、ますますどっかで聞いたような話だ。
「ますます行くのが楽しみになってきたよ。
これで通訳の大役がなければなぁ...」
そうは言ってもウォトカとの交渉がうまく行かないと俺たちも北に向かえないので頑張らないといけないんだけど。
『ヨーイチは素知らぬ顔で居ればいいんだよー。
通訳はちゃんとボクがやってあげるから』
そう言って胸を張るラビ、カリンが居ない時の通訳で何の心配もしてはいないけどな...俺が上手く演技できるかの方が心配なんだよ。
船室の方からは何かわいわいと聞こえてくるが内容まではわからないので気にしないようにする、たまには女子会もいい物だろう。
『はっ!今女の子ってボクだけじゃん!
えへへ〜』
そう言ってラビが膝の上に乗ってくるので頭を撫ぜる。
「ずいぶん慕われているでござるな。
こうしてみるとラビ殿が魔物だなんて信じられないでござるよ」
リューバさんが微笑みながらそう言った。
『えー、ボクちゃんと魔物だよー?ほらー』
ラビはそう言うと。
『こうやって姿も変えられるでしょう?』
と言ってお姉さんモードに変わる。
って!俺の膝の上で変わるんじゃない!
「ほほー、そんな妖艶な姿にもなれるのでござるな。
ん?洋一殿どうしたでござる?」
必死で頭の中で素数を数えていた俺に声をかけてくる。
「こらラビ!人の膝の上でいきなり変わるんじゃない!」
俺の説教に。
『あら?ヨーイチはこう言うの嫌いだったかしら?』
そう言って背中を預けてくる、あと股間の上で尻を振るんじゃありません!
「嫌いじゃないから困るんだよ!ほら戻れ!」
俺がそう言うと。
『あら残念』
そう言って幼児姿に戻る。
『でもこの姿でヨシヨシされるのもボク好きだよー』
チクショウ可愛いな、あとギャップが酷え!
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