第140話 また誰かが突然ドアを叩く

「改めて、洋一殿達には通訳をお願いしたい。

 ショーグン様には隠密である拙者がきちんと話を通すので安心していただきたい」

 もう開き直ったのかちっとも隠そうとせずリューバさんはそう言った。

 あぶねえあぶねえ、あのまま記憶飛ばしてたら通訳に約束も忘れてしまうところだった。

「お話はわかりました、しかしリューバさん、オンミツといえど七番目なんでしょう?ショーグン様に直接進言できるんですか?」

 そう聞く俺にリューバさんは。

「事情を知った人にはよく言われるのだが拙者七番目に偉い隠密というわけではないのでござるよ」

 リューバさんがいうには隠密の最大人数は七人。

 その中で七番目というのは一番ショーグン様から信頼を得ている証なのだと。

「その証拠に拙者のコードネーム暗号名でござる。

 隠密一号であると共にショーグン様から最も信頼されているえ隠密なのでござるよ」

 へぇー、相性が良さそうな組み合わせだな。

「いっそのこと全部話してしまうでござるが他の隠密は火焔、金剛、月光、火砲などが居るでござる。

 なおもう一人、鋭牙だけは特別でござるからヒノモトに行った時はお気をつけ下され」

 そう言われるとこっちも隠し事は良くないかと俺はマイさんの顔を見るとコクリと頷いた。

「交換条件というわけじゃないけどこっちの事情も話しておいた方がいいかもしれないな。

 俺は昨日も言った通りただの偶然でこっちにやってきただけの人間なんだけどこっちのマイさんは違うんだ、確かな筋からの情報なんだけど今ウォトカの北の不毛の大地で魔王が発生してるらしいんだ。

 そしてこのマイさんは女神様直々に俺の居た世界から呼ばれた勇者様ってわけ。

 今は動きは無いみたいだけど魔王が動き出すとまず犠牲になるのはウォトカ、その次はヒノモトだと思うので本当にリューバさんが信頼を受けている隠密ならショーグン様にもお伝え願いたいんだ」

 俺の言葉にリューバさんは。

「それは本当でござるか!?

 しかし冷静さを欠いていたとはいえ拙者の剣を易々と避けられるマイ殿...勇者様であれば納得できるござる。

 わかったでござる!世界の危機なのでござるな!?

 拙者もできるだけ尽力できるように頑張るでござるよ!」

 こうして俺たちはヒノモトへの太いパイプを手に入れたのだった

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