第138話 オーラロードが開かれた
寄った勢いで場をかき回したマイさんをお姫様抱っこで寝室に運びリビングに戻った俺は何食わぬ顔で鰤っぽい刺身を鍋に潜らせしゃぶしゃぶにして食べる。
うん、美味い。
『いや現実逃避するでないわ!』
と、アイさんから引っ叩かれながらツッコミを入れられる。
「いやだってさ!みんなは異世界人だからまぁ好きになってくれるのもわかるけどさ!
マイさんは俺と同じ世界の若い子だよ!?
俺の事恋愛対象どころかただのオッサンにしか見えないと思うじゃんか!」
と言ったところでふと気付いた。
あれ?今俺何言った?
「あー、洋一殿。
今異世界人とか同じ世界のとか言っておられたが...。
詳しく聞かせてくださらぬか?」
はい、さっき
「なるほど、洋一殿はこの世界の人間ではない...と言うわけでござるか」
観念した俺はリューバさんに自分が異世界、地球からやってきた事。
さらにその中でヒノモトと文化や風習、人種などが似ている日本から来たことを伝えた。
「まあ俺がこっちに来たのは事故みたいなもので偶然の産物らしいんですけどね」
そう言って俺はグラスの黒霧の水割りをあおる。
飲まずにやってられるかってんだ。
「不思議なこともある物でござるな。
しかしそのおかげで洋一殿に会えたのだから決して悪い事ばかりでも無いと思うのでござるが」
確かにこっちに来たおかげでみんなにも会えたしあのまま地球にいたらそのまま歳をとって偏屈な老人になる未来しか見えなかったからまあ悪いことばかりじゃないな。
「それに違う世界からやってくるなどまるで御伽噺に出てくる英雄の様ではござらぬか」
そう言うリューバさんを見ながら、やっぱヒノモトにもそう言う話があるんだなぁと感心する。
「へぇー、どんな話があるんですか?」
と俺が聞くと。
「異世界からやってきた三人の女学生が暴走した世界の主を倒す話でござろう?
他にも異世界からやってきた青年が虫を擬人化した様なカラクリに乗って戦う話なんかが好きでござったなぁ...」
んー?なんだろう、俺も幼い頃にそんな話を見聞きした覚えがあるぞー?
「しかしそんな秘密を聞かせてもらってしまったからにはこちらもちょっとした秘密の話でもしたほうが酒の肴になるでござろうな」
だいぶ酔いが回ってきたのかリューバさんが一層お喋りになる。
「ある時はサンブックからの現地駐在員、またある時はチーバ流剣術師範代。
しかしてその正体は!?
ショーグン様の直々の配下、隠密七号とは拙者のことでござるよ!カッカッカ!」
...え!?これ聞いて良かったの!?
俺は一気に酔いが覚めた。
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