第137話 飲んでー飲んでー飲まれてー飲んで
「うーまーいーぞー!」
あれ?リューバさんったらご親戚に立派なお髭の食通さんでもいらっしゃる?
冗談は置いておいて、リューバさんは感激していた。
久々の醤油にうまい刺身、酒もあるし米もある。
よくネットとかで「刺身はごはんのおかずにならない」とか「ホワイトシチューは...」などという発言があるのだが...。
そういう人って普段どんなおかず食べてるんだろ?不思議だ。
美味い魚に上等な醤油、これで白飯が行けない訳がない!
寿司は酢飯だからーみたいなのも却下、海鮮丼は白飯のところもいっぱいある!
はぁ...はぁ...。
なんで俺モノローグで息を切らせてるんだ...?
「洋一殿!お主も悪よのう」
そう言ってくるリューバさんに。
「え?何がです?」
と返すと。
「白飯に合う料理などと聞いておきながら自分で作れるでは無いでござるか」
と言われたので。
「ああ、もちろん俺の故郷も米が主食だからこういう料理は作れるんですがなんせ異国の地ですからね。
煮物とか地元料理みたいなのに飢えてるって訳です」
俺がそう言うと。
「そういえば洋一殿はどちらから来られたのでござるか?
ヒノモト以外で米が主食の国は聞いたことがないのでござるが?」
俺は悩んだ。
身内にはもう隠していないが流石に異世界人という秘密は易々と言うべきではないだろう。
そこへ。
「あーしたちの国はね、ジャッパーンっていうすんごく遠いとこなんだよ!」
と、マイさんが助け舟を出してくれ...って酒臭っ!
あー!水と間違えて飲んだな!?
「マイさん、大丈夫!?」
心配する俺に。
「あー?何がー?
あーしもう二十歳なんだよー。
おっさけだってのーめるんだから」
キャハハと笑いながら背中をバンバン叩いてるけど君勇者だからね?スッゲー痛いからね!?
というか二十歳って言ってもこっちに来るまでずっと入院だからお酒なんて飲んだこと無いだろうに。
「ほら、マイさんお水。
飲み慣れないのにいきなり飲んじゃったから悪酔いしてるから」
そう言って水の入ったコップを手渡そうとしたら手首をぐいっと掴まれて。
「コラー!ヨッチー!
あーしが言ったこと覚えてるかー!」
と、絡まれる。
そういえばアイさんに注意される前にマイさんからも鈍感系主人公みたいになってるって注意されてたな。
「この前アイさんにも言われてちゃんと考えようとしてるよ、マイさんも言ってくれてありがとうな」
と俺が言うと掴んだ手首がぐいっと引っ張られて強引に唇を奪われた!?
周りからえー!?って声がする。
「だーら!ヨッチは鈍感だって言ってるんだし!
あーしもヨッチの事好きだし!」
そう叫ぶとテーブルに突っ伏して寝てしまった。
俺はギギギっと顔を起こしてみんなを見渡してマイさんを指さす。
みんなは無言でウンウンと頷いた。
マジかよ!?
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