第133話 どんなピンチの時も絶対諦めない
「お招きいただいてかたじけない」
そう言いながら魔法屋にやってきたリューバさん。
「いえいえ、大したおもてなしはできませんが是非お上がりください」
俺の言葉にリューバさんは怪訝な顔をする。
「ヨーイチ殿は本当にヒノモト出身では無いのでござるか?」
ん?なんかやっちゃったか?
「こちらの国に来てから初めてお上がりくださいと言われたでござるよ、それにこの家は土足ではござらぬか」
あー、そっか。
土足の国ならお入りくださいだよね。
「出身が多分ヒノモトに似た国だからじゃないですかね?あ、そういえばもう一人同郷の女の子が居るんですよ」
噂をすれば影、トテトテと足音を立てて。
「ヨッチー?お客さん来たのー?」
そう言ってマイさんが顔を出した瞬間!
「むう!?妖怪変化か!?山姥め!?」
リューバさんはさっと後退りすると腰の物に手をかけ抜いた!それは見事な日本刀だった。
「危ない!」
俺の声に走ってきていたマイさんは急停止するがそこに合わせるように刀を振り下ろすリューバさん!
「ちょ!?」
その一撃を半身になってさっとかわしたマイさんだがそれを追うように刀に切先を切り返して切り上げるリューバさん!
が!それもかわすマイさん。
2〜3手かわしたところで。
「何すんの!?危ないじゃん!」
そう言ってリューバさんの頭を引っ叩くマイさん、やべえな...本当にあの運動音痴だったマイさんと同一人物か!?っと。
「リューバさん!落ち着いてください!その子は人間だ!」
そう言って後ろからはがいじめにする。
「ええい!ヨーイチ殿!離してくだされ!」
暴れるリューバさんに。
「いいから落ち着けって!あ、マイさんそのメイクって魔法で一瞬だったよね?解除する事って出来るの?」
俺の問いにマイさんは。
「出来るけどなんで?」
そう答えるマイさん。
「このリューバさんヤマンバメイクを妖怪かなんかと勘違いしてるみたいだからちょっとだけ素顔見せてあげて!」
俺がそう言うと。
「えー!?ヤダー!
なんであーしがいきなり切りかかってきたやつに素顔見せないといけないワケ!?」
と言うので。
「お願いだマイさん!この人はヒノモト...サンブック行きの口添えしてくれる約束をしてくれたんだ!誤解は解いておきたい」
と言う俺の頼みに。
「ったくしょーがないなー、ヨッチの頼みだからやるんだからね?」
そう言って指をパチンッと鳴らすとメイクが消えて黒髪ロングの美少女、素顔のマイさんが現れた。
それを見たリューバさんの身体から力が抜けてワナワナ震え出した。
「あ、あんまし見るなし!
見せもんじゃないし!」
マイさんがそう言っているうちに遂には握っていた刀を取り落とす、うわっあぶね!はがいじめにしてる俺の足の近くに刺さったよ!?
「オ...オトメ姉さん...」
ん?リューバさんの様子が?
「ヨーイチ殿!離してくだされ!オトメ姉さんが!」
そう言って暴れるリューバさんをまたはがいじめにして落ち着かせる、ってまたこのパターンかよ!
「あ、あたしマイです!オトメさんじゃありません!」
お、素のマイさんになってる。
「姉さんじゃ...無い...?」
そう言って今度こそリューバさんは大人しくなったのだった。
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