第132話 シンデレラちから一杯憂さ晴らしの歌
俺は葛藤していた。
リューバさんは良い人なんだが魔王討伐なんて大それた事を独断で伝えて良いものかと。
正直な話魔王が発生して世界の危機ではあるのだがそれは女神経由でもたらされた情報、現時点でこの世界の人には魔王の脅威は降りかかっていないのだから。
「おー!そうかそうか!ヒノモト料理は何でも米に合うでござるよ!」
いい笑顔で答えてくれるリューバさん、勢いで答えてしまったのだが案外理由としては良いのかもしれない。
「その後は北にあるウォトカの国にも向かいたいんですよね」
そう言う俺に。
「お主は本当に運がいい、ヒノモトとしてもウォトカと国交を結ぶために現在使節団を送っておるところだ、2隻目の長距離船もウォトカ航路のために建造されてその試験でこちらに向かっておるのだ」
おお!ラッキー!
ってまぁ女神の指示するルートだし事前に知っていたのかなアメリは。
そんな話の中で俺は一つの疑問を解消することができた。
村で飲んだどう考えても黒霧にしか感じられない酒、あれはその昔ヒノモトから製法が伝えられた酒でヒノモトでは「イモジョーチュ」と呼ばれるまんま製法が焼酎の酒だったのだ。
「酒の話すると飲みたくなる物でござるな、最近はこの街でも刺身を売り出したのでありがたい事だ。
魚は自分で捌けるのだがこの近辺のどの魚が生食して良いかわからなかったのでな、魚屋のお墨付きなら安心でござろう」
俺のアイデアが一人のヒノモト人の役に立ったのか、嬉しい事だ。
「しかし塩でいただくのもツウで良いのだがここは醤油をガッツリとつけて油の乗った刺身を食いたい物でござる...残念ながら米がメインで調味料は味噌が少々しか無いのでござるよ...」
ガックリと肩を落とすリューバさんに俺は。
「それなら今日の夕飯はうちに食べに来ませんか?臨時便の口利きをして頂くお礼にご馳走しますよ!」
そう言うとリューバさんは。
「おお!かたじけない!
実は一人で来ている為頑張って覚えたてのこっちの言葉で話していると気を遣って酒が旨くないのでござる。
故になかなか酒場にも行き辛く寂しく飲むばっかりだったのでござるよ!」
喜んでくれたので俺はリューバさんに魔法屋への道順を説明すると。
「おお!ヒノモトにはマジナイはあるが魔法が無いのでござる!この街に来て楽しみにしていたのだがずっと閉まっていた魔法屋では無いでござるか!
ヨーイチ殿は魔法使いなのでござるか!?」
と、期待に満ちた子供のような目で聞かれた俺は。
「俺...魔法全く使えないんです...」
と自虐的に言ってしまった。
それでも店の店主であるアイさん他カリンも魔法が使える話をすると訪問を楽しみにしてくれると言う返事を貰えたので約束をして倉庫街を出た。
帰りに食材をいっぱい買っていかなきゃだからな!今夜はパーティだぜ!
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