第124話 あんなこといいなできたらいいな

「結構買い込んだなぁ...」

 みんな手ぶらで歩いているがそこはマイさんのポーチのおかげ、本来ならば親父さんに荷車を借りないといけないぐらい買っているのだ。

 もちろんドラゴンの素材を使った貴重なテントを頂いたお礼もあるんだけど親父さんの作るものはいちいち魔封石で効果が高くされていたり別の効果が付与されていたりと面白いものが多いのだ。

 みんな選んだ物から取捨選択するつもりだったみたいだけど俺が全部買うことに決めた、金ならあるんや。

 というのは冗談で組み立てスコップの時と同じ様に親父さんの作るものはコスパが良くて値段も安いので気にせず買うように言ったわけだ、性能は折り紙付きなので使わないものがあれば売ってしまえばいいし。


 屋敷に戻った俺たちはマイさんに荷物を出してもらう。

 ドラゴンのテントなんかは外に出して積んでおかないと効果が出ないし。

 いやーしかし俺が買うって言ったけどなんかもう山盛りだな、とりあえず出しとかなきゃいけない物だけ出してはあとはまたマイさんのポーチに収納しておいてもらおう、なんかだんだん四次元ポケット化してきたなマイさんのポーチ。

『おにいちゃん見てみて!』

 カリンが身につけているのは透明な石が付いたペンダントだった。

『これね、こうやって魔力を込めると...』

 ぶわっ!っと風が吹き出した。

 どうやら風の魔法が込められているらしい、アイさんによればこういう発動トリガーが魔力を込めるタイプの魔封石は込めた魔力を使うので威力の割に長持ちするそうだ。

 しかし吹き飛ばされそうな風だが実際に人間が吹き飛ぶほどの力は無いので使い途としては微妙か?と俺が考えていると。

『お掃除とかに使えるかなぁって思ったの』

 と、カリンが言う。

 なるほど、ブロワー的な使い方か。

「確かに、スライムの足止めとかにも使えるかもしれないな、工夫次第では役に立ちそうだ」

 親父さんの道具はこういう物が多いので色々試行錯誤してみるのも楽しいもんだな、まぁ魔力操作出来ないから俺は使えないけど。

 利便性を追求してるおかげか地球にある物と似た性能のものがあったりするのも面白い。

 例えば魔力を込めたら小さな火種が出る火の魔法の筒なんかまんまチャッカマンと同じ使い方だし、まぁこれも俺には使えないけどな!いいもん!俺チャッカマンあるし!


 結局色々便利な物がたくさん手に入ったけど大半が魔力を込める方式のものだったので俺が使えないという結果だった、なんてこったい!

「でもまぁ...」

 俺は手元にあるドラゴンのテントを見て。

「このテントだけでもお釣りがくるけどな」

 そう言って俺は笑った。

 そして出発前日の日は過ぎていくのだった。

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