第122話 いくつの街を超えてゆくのだろう

 翌日、騎士姉弟も許可をもらって来て荷物に準備も終わったという事で昼から雑貨屋に向かって歩いて居た。

 何か必要な物があるかもと今日はフルメンバーの大所帯だ。

「しかし馬車だと気にならないけどこうやって歩くと人数多いなぁ」

 某国民的RPGでも表に四人出て後は馬車ってのがあったな、あれで何人だっけ?

 商人は途中で居なくなるから〜などと考えていると。

『いや話振っておいて何か考え込むんじゃ無いわい!』

 と、アイさんからツッこまれた。

『しかしたしかに大人数じゃわな、ウォトカまでは良いがその先の不毛の大地はこの人数じゃ難しいかもしれんのう』

 アイさんがそう言うので俺は。

「そこら辺の判断はアイさんに頼っていいかな?やっぱり王宮魔道士まで務めた人生の先輩の判断は欲しいから」

 俺がそう言うとアイさんは。

『珍しく殊勝な事を言うじゃ無いか、いつもこうならいいのじゃがのう』

 と言うので。

「別に普段色々教えてもらうのも同じだよアイさんの経験と知識に頼ってるだけさ」

 そう答える俺にアイさんは。

『まぁワシが無理やりついて来たんじゃ、教えれる知識は教えようぞ』

 と言う返事をもらったので俺は。

「あ!アイさんあそこに売ってる料理何?」

 といつものごとく振る舞うと。

『全くお主は...おお!あれは!禁断のスライム料理ではないか!』

 なんか冗談で振ったらとんでもない物だったみたい。


 禁断のスライム料理とは調教テイムしたスライムを使って硬い食材を柔らかくしたり溶けかけさせる事で違う食感にすると言うアイデア料理...らしい。

「で?なんで禁断なんだ?」

 俺の問いにアイさんは。

『スライムは養殖されておらぬから野生のものを調達することになる、何を溶かしたかわからぬスライムを使うことに忌避感を覚える者も多いと言う事じゃ、例えば...人を溶かしておるかも...などとな』

 そう言われればたしかにそうだ、俺は背筋がぞわっとする。

『興味はあるけどそれを聞くと食べる気しなくなるわね』

 と言うメリルに。

『確かにちょっと怖いね』

 と言うカリン。

 うん、スルーしよう!

 俺たちは雑貨屋へと急いだ。


 雑貨屋の店先に並んだ〜いろんなテントを見て〜いた〜。

 なんだこのテントの数!

 構造は俺が教えたままなんだけど布というか皮の素材違いで5張りが並んでいた。


『お!来たな!』

 そう言って雑貨屋の親父さんが出てきた。

「いやあ壮観ですねぇ、これは素材毎に特徴が違うんですか?」

 薄くて軽そうな爬虫類ぽい皮から硬い毛皮のついた哺乳類っぽい皮まで様々だ。

『ああ、徒歩に向く軽いのや馬車などで運べる強い物、色々作ってみたわけだ』

 アイデアは出したとはいえ1日でコレだけの数を作るとは正直脱帽物だ。

『で、あんたにやるとっておきは表に出せないんで店の中に入りな』

 そう言われて俺たちは店に入った。


『コレだ...わかるかい?』

 親父さんが出してきたのは袋に入ったテント、袋自体は一般的な革製なのだが問題は中身だ。

 素材としてはさっきの爬虫類系と変わらなく見えるが若干厚い上にどれだけ引っ張っても裂けそうにない強度があった。

『ちょっと待て店主!コレは!』

 アイさんが驚愕した様に問いかける。

『お、コレがわかるのかいお嬢ちゃん...俺もこんな物流れてきてどう使うか悩んだまま30年も経っちまったが...コレはあんたらの為にここにやってきたのかも知れんな』

 アイさんが驚いて30年前って...まさか!?

『コレはドラゴンの皮さ、30年前王宮の魔導士様が吹き飛ばした時に落とした素材だと聞いてる』

 まさかのアイさんが倒したドラゴン!?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る