第119話 VIPPERのあんたがたに挑戦します

「帰って...来れた?」

 昼飯にしようと止まった荷馬車の中で目覚めた俺はそう呟いた。

 寝てる間に見た夢、あれはただの夢じゃなく間違いなく女神との邂逅だったんだろう、というか普通謎空間に呼び出した相手置いて帰るか女神のくせに!?

「ま、おっちょこちょいなところはあるっぽいけど行き先を決めれそうでよかったよ」

【誰がおっちょこちょいよ!?】

 まただ、時々なんか聞こえるんだよな?虫の羽音か?

 荷馬車から降りると俺が寝ていたからかすでに昼食が出来上がっていた、今日は...おお!豚丼じゃないか!しかも豚塩カルビ丼!

 例によってマイさんのポーチから調味料を出したらしいんだが塩ダレも常備されてるらしい。

「あれ?もしかしたらマイさんのポーチから塩出したら元手要らずで大儲けなんじゃね?」

 俺がそういうとマイさんは。

「それがねー、一回に出せる量がある程度決まってるんだよねー、あーしも塩で大儲けしたって聞いてやってみようとしたんだけど」

 どうやら調理で使う分以外は出せない仕様になってるみたいだ。

 まぁ魔法屋に行けば大量の塩があるわけだし入れた物品は上限無く出し入れ出来るみたいなので運搬コストが減るだけでも大助かりだな。

 ちなみにこのポーチ、口より大きな物も入るのだ、なんというか名前呼ばれると吸い込まれる瓢箪の話みたいにヒュッと。

 入れられないのは生きている物だとか。

 なので迂闊に動物とか入れてしまうと死んでしまうと言う説明だったそうな。

 生き物入れられるならジムニーの故障に備えて馬とか入れとくんだけどな。

 兎にも角にも俺は久々の塩ダレ豚カルビ丼を堪能したのだった。


 食後のお茶をしながらみんなにこれからの説明をする。

 セイゴからソマリンまではこの前と同じでそこから船でサンブックに渡るというとマリアが。

『そういえばソマリンで手に入れたお米を試験的に輸入した国がサンブックとお聞きしましたわ』

 流石商人の娘、抜かりがないな。

 と言うことはサンブックにいる間は米の減少の心配はいらないのか、というか米がある国ならそれにあった料理もあるかもしれない。

 俺は俄然やる気が出てきた、でもまずセイゴの街にアミダラさんを送っていくのが最優先なんだけどね。


 そんなこんなで行きと違い馬がいない分若干早くセイゴの街へと到着したのだった。

 今日もジムニーちゃんは元気です!


 いつもの如くおじいちゃんを手伝って商会専用の入り口から入ってとりあえずアミダラ邸へとジムニーを回したところで身体が急に空きスペースへとハンドルを切った。

 咄嗟にメーターパネルを見た瞬間、そこには給油ランプが点灯していたのだった。

 そして俺はまた意識を失った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る