第108話 コッコッコッココケッコー
「さて今日は何を作るかな?」
マイさんのポーチのおかげで調味料切れの心配どころか持ってきていなかった調味料まで出してもらえるようになった、しかもバターや卵、米まで出せるらしくご飯と味噌汁なんかは水さえあればノーリスクで食べれるらしい、そう!ガチの鶏卵があるのだ!
俺はウッキウキでご飯を炊き始める、村で一番でかい鍋を借りて大量に。
その横では同じ大きさの鍋で味噌汁も作っていく、顆粒ではあるが出汁もあるし味噌もある。
ワカメと豆腐もポーチに入っていたので基本の基本、豆腐とワカメのお味噌汁だ。
これだけ揃ってるなら
そうこうしてるうちにご飯も炊けて蒸らしに入る、俺はみんなに茶碗を配る。
『今日はご飯と味噌汁だけなの?ヨーイチらしくないわね』
メリルが不思議そうな顔をしている。
『お兄ちゃんも毎回料理するの大変だしお味噌汁美味しいからいいでしょ』
カリンが庇ってくれるがそうではない!そうではないのだ!
『ヨーイチのあの顔...なんか企んでおるのう』
お、流石アイさん、鋭いな。
「よいしょっと、卵たくさんと醤油に麺つゆと焼肉のタレ、削り節にチーズに海苔これくらいでいい?ヨッチ?」
ああ、完璧だな!ってヨッチって俺のことかよ!?
マイさんにテーブルに出してもらった卵と調味料に添え物の数々、レディパーフェクトr...
準備は完全に整った!
「はい!ちゅーもーっく!」
今日のお昼は集まれるだけの村人総出で食べることに。
「皆さんは卵を生で食べることは無いと思います!衛生面やお腹壊したり心配だしね!
だが!このマイさん印の鶏卵は違う!生で食べられるのです!
今日は皆さんに生の卵の美味さを知ってもらいますが決して自己判断で村の卵を生で食べないこと!良いですか?」
俺が言うとみんなうんうんと頷いた。
「それでは皆さんご飯は持ってますね?
お箸やスプーンでてっぺんにくぼみを作ってください」
そう言って実演するとみんな真似してくぼみを作る。
「ここに卵を割ります、黄身の部分がくぼみに来る様にするとベターです」
そう言いながら卵を割る。
「まずは醤油からいきましょう、ちょっとかけすぎかな?ぐらいかけて...一気に混ぜます!」
混ぜすぎないやり方もあるみたいだけどアレンジは後、まずは基本形から。
「混ざりましたか?準備はいいですか?」
この前のクマ肉パーティで村人にいただきますは浸透している、元がエルフの血を引く人々なので自然や生き物から【いただきます】というのは実感しやすかったようだ。
「それでは!いただきます!」
『イタダキマス』
俺は我慢の限界でちょっとお行儀悪いけどかき込む!
美味い!久々のTKGサイコー!
みんなもガツガツと食べていく。
『ええー!?簡単なのに美味しい!』
『生の卵がこんなに美味いなんて!』
『このショーユってのがキモだな!』
周り中から美味い美味いと聞こえてくる、大正義
「あーしも入院してから食べてなかったから久々でメチャ美味しいよ!」
ん?入院?
気になるけど後で聞いてみるか?なんせ今は...。
「みんなー!物足りないだろー?」
俺の声に『おーーーー!』と声を上げる村人達。
「そうだろうそうだろう、そのためにご飯の器をぎりぎり小さい物で準備しているんだからな!まずは味噌汁を飲んで落ち着いて欲しい。
その後は...好きなアレンジでおかわりだー!
めんつゆはダシが効いてるし焼肉のタレは濃厚だぞ!チーズは言わずもがなだし海苔は海の風味!削り節は魚の旨みだ!」
そう言うと我先におかわりをする村人達、その中で俺に駆け寄るアミダラさん。
『ヨーイチさん!普通の卵を生食する事は出来ないのですか?出来ればまた一儲け出来そうですが!』
流石商売人、目の付け所が違う。
えーっと日本の卵と海外の卵の違いってなんだっけ農業高校の漫画でやってたな。
「まずは産卵場所の衛生管理と産んですぐ殻の汚れを拭くこと、日数が経つともちろん食べられないので産んで2日ぐらいなら安全ですかね。
一度試しにやってみてからアイさんの鑑定魔法で見てもらうといいかもしれません、比較対象に卵はマイさんに出してもらえますし」
俺がそう言うと俺の手を握ってブンブンと握手をした後おかわりの列に並び直していた。
是非とも上手くいって欲しい物である。
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