第107話 pretty little Baby yeah yeah
「じゃあ軽くランニングからな」
そう言って走り出すけど別に長距離を走るつもりはない。
50mを見る限り走り方は変だったけどスピードは早かったし息も切れてなかった、つまり身体の動かし方が下手なだけでスピードやパワー、持久力はなんの問題も無さそうだ。
「はい走ると言うより腿を上げることを意識してー、足に合わせて腕を振るー」
指導しながら走っていくと段々とスピードが上がってくるフォームの矯正がうまく言ってる証拠だな。
ざっと1キロほど走って広場に戻る、昨日引いた線はまだ消えてなかったのでタイムを測ることに。
「じゃあさっきのフォームで出来るだけ早く走ってね、よーい!スタート!」
ビュン!
おいおいおい、マジかよ。
「ねーねー!あーし何秒だった?」
こちらに駆け寄ってくるマイさんに俺は言う。
「4秒ジャストな...」
何が恐ろしいってこれ、ダッシュじゃなくてランニングのフォームで早く走っただけなんだよな、もちろんスタートも教えてない。
やばいな、これ半端じゃない。
俺は自分の身体操作のうち理論上可能なはずだけど力不足で出来なかったものがあるのを思い出す。
勇者様ならなんとかなるかもしれないけど一度飛び上がるとどう頑張っても最速で着地できるのは落ちる速度だけつまり足をいくら早く動かしても運動エネルギーが斜め上に向かう以上ロスが発生するわけだ。
俺は現役時代前に出る瞬間脱力して後ろ方向に蹴り出す事で脚力を可能な限り前進に使う事ができ組み合いなどに使う踏み込みにしていたのだがこの勇者の身体能力があれば蹴り出したところから2の足3の足で走り続けることが出来ないだろうかと思ったのだ。
俺はまず一歩の踏み込みから教え始めた、これは理論さえ理解していれば難しいもんじゃないし蹴り出すタイミングさえ覚えれば使うことは簡単だからな。
何度か繰り返すうちにすぐに俺を越えていくのは嬉しいのか悲しいのか。
俺の踏み込みはざっと2mを一瞬で詰めるものなんだけど既に5mの距離を詰めてきてる、やっぱやべえな勇者。
次に俺は一歩踏み込んだとこから同じ感じでもう一歩踏み込ませてみる、俺には不可能な動きなんだけどね。
タイミングが難しいみたいなので繰り返し練習させていると。
「ねー!見てみてー!できたよー!」
マイさんはタタン!っと一気に10mほど移動した。
2の足ができたなら3の足も大丈夫だろうとタイムを測ってみたところ...1秒
いやいやいや50mを1秒ってやばいから、俺戦ったら一瞬でやられるって事じゃん。
しかし一直線に高速だと剣などを構えられると危険なのでサイドステップを教えなきゃ。
という事で反復横跳び、まずはお手本で俺がやってみて身体の動きを覚えさせる。
まずはゆっくりぴょんぴょんと。
そこから姿勢を落としていってどんどん高速に、最後はさっきの歩法を小さく横方向に出す感じでやらせてみせると...おお!本当にできるんだな!分身の術って!
マイさんが3人に分裂した。
「はいストップ!上出来だ!」
そう言って止めたあと。
「マイさんはすげーな!教えがいがあるよ」
と、つい頭を撫ぜる。
「へへへ...」
二十歳と言ってたから怒るかなと思ったけどマイさん照れ笑いをしながら嬉しそうだ。
なんというかこの娘精神年齢がメリルより下に感じる事が多いんだよな、転生前の環境に何かあるのかな?
嬉しそうなので頭を撫でたまま。
「そろそろお昼だしご飯にしようか?動いた分ちゃんと食べないとな」
そう言うと。
「うんっ!」
と帰ってきた、何この子可愛い。
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