第106話 サンドバッグに浮かんで消える
『ふむ、各属性基本的な物以上に覚えたようじゃな、魔力を放出する感覚はもうわかるじゃろう?』
そうマイさんに問いかけるアイさん。
「はぁ...はぁ...大丈夫です師匠、じゃねーっす完璧っすよ師匠!」
疲れからか素の喋りになっていたが途中で気づいたみたいだ。
『まぁいくら魔力が膨大とはいえいきなり詰め込みすぎるのも良く無いじゃろう、しばらくは反復しつつ魔法に慣れる事じゃ、それにお主は勇者、魔法だけじゃないじゃろう?』
そう言うとアイさんが視線を向けた先は...ローズさんだった。
因みに魔法の訓練の間横で呪文とか真似してみたけど俺に発動できる魔法は無かった模様。
『次は私の番というわけですか?マイ殿?剣の経験は?』
ローズさんがそう聞くと。
「ぜーんぜん、そもそも身体能力が高くなってるって言われたけどあーし元々運動得意じゃ無いし」
その答えを聞いてローズさんは考え込んで。
『それならばまず剣を覚える前に身体操作から調整すべきかと思います、頑丈になっていてもおかしな動きをすると自分の力で怪我をするかも知れませんし』
そう言いながらまた考え込む。
「じゃあテストでもしてみればいいんじゃ無いか?所謂スポーツテストだな」
俺の提案にポカンとしたローズさんだが細かく説明すると理解してくれた。
「じゃあまず短距離...かけっこだな。
1,2、3、4...50っと」
俺はざっと軽い足取りで50歩を計る。
現場では良くある事なんだが俺もおおよそ1mの歩幅で歩くことが出来る、細かい数字が必要じゃ無い時、俺の仕事だとざっと必要な電線の長さを計る時に使う歩法で1m間隔で何歩歩くかで計るわけだ。
「んじゃぁまず50m走な、折角だからみんなのタイムも測ってみようか?」
試しにまずはメリルとカリン。
二人同時だから早い方のタイムだけしか測れないけど一応スマホの電源を入れて測って見る。
「よーい!スタート!」
号令係は通訳の必要のないマイさん。
メリルが7秒後半、カリンは大きく遅れたがまぁさっきまで目が不自由だったから仕方ないけど10秒オーバー、年代的にはメリルがちょっと早めでカリンは遅いってところかな?
次に騎士姉弟。
ローズさんが驚きの6秒前半、ノヤーロ君が6秒半ばってところか。
女性で6秒前半はすごい、さすがは騎士様ってところかな?
他のメンバーはおおよそ年代平均ぐらいのスピードってとこかな?いよいよマイさんの番。
俺はドキドキしながら号令をかける。
「よーい!スタート!」
うわ、走り方がなってないどころじゃない、小学生の時運動な苦手な子がやってる腕を左右にいやんいやんみたいにして走る感じ。
で、タイムは...いやおかしいだろ?
6秒前半ってローズさんとタメ?あの走り方で?
あー、やめやめ!参考にならない。
俺はテストの終了を告げる。
「マイさん、あんたすっごい宝の持ち腐れなのな?」
俺の言葉にマイさんは若干のショックを受けている。
「え?あーしダメな子?」
んー、ダメじゃないんだ...だから。
「マイさん、明日から俺とトレーニングしよう?多分勇者召喚で鍛える必要性無いぐらい強化されてるけど身体の使い方がなってないどころじゃ無い、俺の現役時代のトレーニング教えるから身体の使い方から覚えよう」
前にも言ったが俺は柔道現役時代身体が大きく無く身体の使い方でカバーしていた、俺が教えるのもおこがましい才能だろうけどこのまま魔王討伐なんて言われても不安しかないので...。
俺のトレーナー魂に火がついた。
いや指導経験なんて無いので自分の経験教えるだけなんだけどさ。
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