第105話 あの地平線輝くのは

『治癒魔法を教える前にまずは基本中の基本じゃ、手を出してみい』

 アイさんはそう言ってマイさんの手を取る。

『今からワシの魔力を少しだけお主に流す、その違和感を感じとるのじゃ』

 アイさんはそう言うとフッっと気合を入れる。

「何これ?あーしの手に変な感触が?」

 違和感を感じるんだろう、マイさんは不思議そうな顔をしている。

『その違和感を身体の中から探すのじゃ、見つけたらワシの魔力と同じところに集めるイメージをすると良い』

 そう言われてマイさんは目を瞑って集中する...しばらくするとマイさんの手が紅く光り始めた。

『集まったようじゃの、そしたらそれを空に...いやあそこの膝を抱えたオッサンに向けて放つのじゃ!』

 視線の先にはワズマーミさん!?

「えい!」

 マイさんの掛け声と共に紅い魔力光?がワズマーミさんを襲う!

『ギャー!』

 ワズマーミさんは叫んで倒れる。

『うむ、上出来じゃ。

 今のが魔法の基本、魔力解放じゃ』

 にこやかに笑いあう二人、いや微笑ましいけどワズマーミさんビックンビックンしてんだけど!?

『心配はいらぬよ、過剰な魔力を浴びて苦しんどるだけじゃ。

 外傷も後遺症も無い、そもそも折檻しようにも今のワシの魔力じゃワズマーミに受けられてしまうかも知れんのでな、マイにやらせたまでのことよ』

 いや昔はこんな折檻を普段からやってたって事か?

 やっぱこの師弟ヤバいんじゃなかろうか?

『さて治癒魔法から教えていくぞい、まず魔力の色じゃが治癒魔法は緑か白じゃ。

 そのイメージをせい』

 マイさんの手に緑色の光が集まる。

『むう、飲み込みが早いのうそれなら少し白を混ぜてみようかの』

 アイさんの言葉にまた集中するマイさん、緑の光が輝き出してプラチナグリーンといった感じになる。

『よもやここまですんなりいくとはな...勇者は伊達じゃ無いと言う事か』

 アイさんはそう言って手招きをする、呼ばれたのはカリン?

『それでは呪文を教えるぞい、〜〜〜〜〜』

 カリンが呼ばれたのでラビが通訳してくれてるけど呪文の部分は通訳出来ないのか黙ってしまった。

 現地語とか発言意識ではなく魔法語みたいなものなんだろうか?

『唱え終わったら発動させるのじゃ、起動呪文キーワードはパーフェクトヒールじゃ』

 マイさんは何かゴニョゴニョ言うとカリンの頭に手をかざして。

「パーフェクトヒール」

 と呟いた。

 プラチナグリーンの光がパッと弾けたけど何も変わりがない?

 カリンはキョロキョロしだして俺の方を見ると全力で走ってきた!

 パッと両手で俺の頬を挟むとジーっと俺を見る。

「あの...カリンさん?」

『見える!』

 ん?

『見えるよ!お兄ちゃんの顔がはっきり見えるよ!』

 え?えええええええ!?

 この前やっと目が開けれてうっすら見え始めた目を...治しちゃったの!?

『くっくっく、ヨーイチよどうじゃ?』

 いやすげえ!マイさんもすげえけど教えてるアイさんもすげえ!

『本来ハイヒールで少しでも良くなればと思っておったんじゃがの、マイの素質がすごすぎてパーフェクトヒールを使わせてみたのじゃ。

 言っておくがこの魔法は全盛期のワシでも発動させきれなかった伝説の魔法じゃぞ?』

 うおおおおおお!流石勇者様だ!チートすぎる!

『じゃがまぁ、そのサングラスはかけておいたままがいいじゃろうな、魔眼の制御用にも使えておるし』

 アイさんが言うには視力がはっきりした事で魔眼の対象も絞れる様になり効果も上がりそうとの事、無駄打ちを避けるためにもサングラスは続行したほうがいいらしい。

 俺は決意した、イアンさんに言ってもっと可愛いフレームを作ってもらおうと!


 それから曖昧コンビは火の魔法、水の魔法、風の魔法、木の魔法と土の魔法更に光闇の魔法まで一通り練習していた。

 しかしペースが早すぎて呪文を覚えきれないのか今日はこの辺でと切り上げることになった。

 あ、魔力解放折檻から回復したワズマーミさんがあっさり抜かれて今度は地面にのの字書いてる。

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