第101話 眩しい空を、輝く海を
「ごちそうさまでした」
よほどお腹がすいていたのかローストベアー丼をペロリと平げ味噌汁を飲みと彼女はそう言った。
事情聴取ではないけど話を聞いてみる事にするかと準備していたココアを差し出す。
「美味しかった?色々聞きたいことがあるけどまずは食後のドリンクでもどうぞ」
そういいながらテーブルにココアを置くと。
「あ、ありがとうございます!」
そう言いながらこっちを向いて顔色を変えた、正確には俺を見てじゃなく俺の後ろを見て。
なんだ?と振り向くとそこにあるのはメリルのお母さんの形見だという壁掛けの姿見だけ。
「で?君日本人だよね?何で俺の名前を知ってるの?」
そう問いかけると彼女は態度を一変して。
「あ、あーしの名前はマイ!どこにでも居るギャルだし」
そう答える。
なんだ満腹になったら態度変わるのか?と思ったがまぁギャルだからって問題はないので話を進める。
「知ってるだろうけど俺は毛利洋一、しがない電気工事士だよ、こっちに来てからは行商人みたいな事しかしてないけど」
俺がそういうとマイさんは。
「そうそれ!あんた車持ってるんでしょ?あんたを頼れって言われたんだし!」
頼れって言われた?誰に?
確かに異世界でホイホイ車を動かしてはいるけど塩を仕入れた路線の人間しか知らないだろうしそれで別の日本人に教えそうな人なんか思い当たらないんだけどな。
そもそもマイさんはなんで異世界に?
ちょっと場の空気を和ませるか。
「んでマイさん、youは何しに異世界に?」
俺が戯けてそういうとマイさんは。
「あはは!あーしもあの番組見たことあるよ、確かにここだとあーし達の方が異邦人だよね」
マイさんは一呼吸置いて。
「あーしはね、勇者だって言われたよ」
と言った。
...
「ふう、なんとか合流できたみたいね」
マリアの中のアメリズを通して勇者が無事洋一と合流出来たことに安堵する。
「※※※※マイさん、貴女はこのままだと命を落とす事になります」
地球の日本、定番の勇者輸出国に先輩の許可を得て出向いたあたしは今にも死にそうな女の子に声をかけた。
彼女は病気で間もなく命を落とす。
生前の体力や健康状態はあまり気にする必要は無かった、なぜなら彼女が承諾してくれれば
幼い頃からずっと病気に蝕まれていた彼女は物語の世界や外で駆け回る事に強い執着があった、学校にも行けず人並みの青春と言うものも体験できず二十歳になる今日、命を落とそうとしていたのだ。
「私...死ぬんですね...貴女は誰です?天使様?死神?」
悲壮感いっぱいに答える彼女に対して。
「ハーッハッハ!私が神だ!」
と仮面ライダーエグゼイドの壇黒斗のモノマネをしたいのをグッと堪えて。
「私は女神アメリ、私の世界に魔王の気配が現れました、貴女が承諾してくれるのならば私の世界に転生して
報酬は健康な身体、強き力、異世界での新しい人生などとなりますがいかがでしょうか?」
彼女は考え込んで居るが今この場で命を落とす事と天秤にかけたらきっと承諾してくれる事でしょう、それ以外に道はないのだから。
「それなら...あたしギャルになりたいです!」
「は?」
素で変な声が出た、何言ってんのこの子?
とにかく了承を得たあたしは彼女にマシマシの能力と知識、あと移動手段として洋一に合流させる事に決める。
協力させる決めても渡してある...抜かりなく完璧に!
「さぁお行きなさい...貴女は異世界で勇者として新しい人生を得るのです」
そう言って彼女を送り出した。
やっべぇ!座標間違えた!!!
...あー、まぁナビ的な能力も渡してるしいざとなったらマリアを使って合流させればいいし...あは、あはははは...あたし完璧!
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