第94話 照り焼きと、卵。春しか会えないさだめが辛い。
ツーヨクーナーレルー...
俺は耳を疑った。
ジムニーにBGMとして小さく流していた俺が転移する前に流行っていた大正鬼退治アニメの主題歌に...ではなく!
それに合わせて歌っているカリンに。
「カリン今歌ってた!?」
俺が問うと。
『えへへ、目を開けてから少しづつ耳も聞こえるようになってきてたんだ、お兄ちゃんこの曲ばっかり聞いてるから覚えちゃったよ』
と、サングラス越しにニッコリ笑う、可愛い。
『でも音としてしかわからないんだけどね、このオーディオ?って言葉を発しようって意思がないから魔法で理解出来ないの』
そうか、カリンの魔法は言葉として話そうとしている思考を読み取るんだっけ?
「よし!じゃあ俺が歌えば意味がわかるかな?強く〜♪」
俺は運転しながら熱唱した。
ボエー!とはならない、歌はちょっとばかり自信があるしこの歌は気に入って練習したもんね。
...まぁ声質は完全に男なんだけどな、女性声出せる声帯がほしいぜ...。
俺が歌い終わるとカリンがパチパチと拍手してくれる、後部座席ではマリアとセリスも。
村へのキャラバンだが預けておいた馬も連れて行かなければならないのでメリルが馬車を操縦してくれる事になった。
その馬車の中にアミダラさんと護衛のノヤーロ君。
ジムニーが引いている馬車にアイさんとラビにロウ...そして何故かローズさん...。
おい護衛、速攻職務放棄してんじゃねーぞ?
もしかしてこの人この状況になる事を見越してノヤーロ君連れてきたんじゃないだろうな?
『ち、違うのです!こちらにはマリアお嬢様も居ますし客人のヨーイチ殿も居ますから私はこっちの馬車の護衛なのです!』
と、狼狽ながら答えていたので。
「じゃあラビはあっちの馬車で良いですよね?」
と意地悪な質問をしたら本気で涙ぐみ始めたのでやめておいた。
本当残念な美人だなこの人!
『まぁええじゃろ、ヨーイチ以外女ばかりだったのじゃから戦える人間が二人も増えるのはありがたい事じゃろ?ワシの魔法も何度も撃てないからの』
とアイさんが言うのでこの配置になった。
しばらく走ってお昼ご飯にしようと言う事でジムニーと馬車を止めロウも自由に走らせてささっと設営を済ます。
こっち側はスライムが出ないので気が楽なのだが簡易トイレを作ったところアミダラさんが食いついた。
『ふむふむ、布に棒を通して張力で立ち上げてるんですね?それにそのスコップ!うちの街の雑貨屋で買ったのですか!?むう、この組み合わせは儲かりますな!特に女性を連れた旅人や乗合馬車には最適でしょう!』
と、完全に商人目線で査定してくる。
『このテーブルも板を小分けにして丸めるのは単純ながら収納性が高いですね!
この伸び縮みする紐は希少なのですか?』
と聞いてくるので普通に幅広の紐を打ち付けた商品もありますよと教えると。
『それなら簡単に量産出来ますな!いやー、ヨーイチさんも人が悪い。
こんなに売れそうな物を沢山持っているなら街で教えて頂ければ良かったのに』
と言うので村に行けばフォースさんという木工の達人が居る事を教えると。
『おお!神の導きか!?』
と若干芝居がかったリアクションをする。
「大袈裟ですねぇ、でも悪い気はしませんね。
もしかしてコレってアミダラさんの商人としてのテクニックですか?」
俺がいうと驚いた顔をして。
『良くお分かりですね、私は取引やアイデアには必要以上に喜ぶようにしているんですよ、実際嬉しいのですから嘘をついてる訳ではありませんし先方が喜んでくれるならば双方損はないですからね、いやーあなたは頭の回転も速いですな』
そう褒められて照れる俺だがもしかしてコレも乗せられてる?
うーん大商人侮りがたし!
さて無駄話をしてるうちに空腹もMAXになってきた!
今日のお昼は...。
フライパンにオリーブオイルを大目に敷いて...下ごしらえした鳥モモ肉をドーン!
本当は片栗粉が欲しかったけど無いので小麦粉をまぶして塩胡椒したものだ。
皮目から揚げ焼き気味に焼いていき両面しっかり焼き上げる。
フライパンに出た油は別途取り置いて冷めたらタッパーかジップロックにでも入れておこう、チャーハン作る時に鶏油として使うと旨いからね。
油を切ったら醤油、みりん、酒に砂糖を混ぜたもので煮詰めていけば...鳥の照り焼きの完成!
大きめの1枚を焼いたので程よい大きさに切り分けていって...。
人数分のパンにレタスっぽい野菜を敷いてマヨを少々と照り焼きを載せて挟む!
完成!照りマヨバーガー!
おまけに目玉焼きも挟んでてりたまよバーガーだ!
この世界の卵に生食の信頼が置けないため固焼きなのが残念だ。
屋敷の食事でアミダラさんとクッコ姉弟にも説明は済ませてあるので...。
「いただきます!」
『イタダキマス!』
パクリと一口、んーこれこれ!甘辛い照り焼きと瑞々しいレタス(のようなもの)にパンが相まって...。
「美味い!」
自画自賛だけど美味いもんはしょうがないよめ!
食べながらロウのために肉の素焼きを作ろうとしてたら...。
「オンッ!」
と何かウサギのようなネズミのような生き物を捕まえてもう食べてた。
「偉いぞー」
っと頭を撫でながらも絵面が若干スプラッタなため全員目を逸らしながら食事を続けた。
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