第93話 ぞうさんぞうさんお鼻が長いのね

『それではアミダラ殿はエルピオーネに行かれると言うのですか!?』

 ローズさんが荒ぶりながら問う。

『ええ、そうですよ。

 友人にも会いたいですしそれにあの村とこのヨーイチさんが組めば儲け話がゴロゴロしてそうですから』

 素直に答えるアミダラさん。

 するとしばし思案したローズさんが。

『わかりました!ちょっと本部に行って参ります!すぐ戻りますので!』

 そう言って駆け出した。

 いや戻ってくるって何をするつもりだあの人は?


『はぁ...はぁ...はぁ...只今戻りました』

 みんなでお茶をしていると走って戻ってきたローズさん、何しに行ったんだこの人?

『アミダラ殿は街一番の商人、万が一があるといけないので騎士団長に直訴して護衛の任を勝ち取ってまいりました!』

 と、すっげぇいい笑顔で言い放った。

 いや騎士様が護衛してくれるのはありがたいんだけど...だれも頼んでないよ?

 というかこの人ラビと離れたくないだけだろマジで!

『それと私一人で後手を踏んではいけないのでもう一人勝ち取って来ました!』

 そう言ってサッと横にズレるとそこにいたのは少女騎士?

 なんか小動物のようにオロオロしているが大丈夫なのかこの子は?

『はじめまして、アミダラ様の護衛の任に着きます、ノヤーロと申します』

 ペコリ頭を下げる仕草が可愛い。

『ノヤーロは私の弟です、こんなナリですが剣の腕は私と互角ですのでご安心を』

 ローズさんの言葉に思考がフリーズする。

「え?弟?妹じゃなくて?」

 俺が問うとローズさんは。

『はい!弟です!可愛い顔をしていますがなかなかの腕前ですよ!』

 と胸を張る。

「なんで女騎士の鎧を?」

 と聞くと。

『私のお下がりです!よく似合っているでしょう?』

 うん、似合ってるよ。

 鎧が似合ってるから問題なんだよ!

『あなたがヨーイチ様ですね、私の護衛ではご不満ですか?』

 キッっとした顔で俺を問い詰めるのだがその顔が可愛い。

「いや、街の騎士様として勤務しているんだろう?腕前に不安も不満もないよ。

 ただちょっと男の子にしては可愛いなって思っただけだから」

 俺がそういうと。

『は!?可愛いとか言われても嬉しくねーし!俺オトコノコだし!』

 と、狼狽たように言い出した、なんで顔を赤くしてるんだよ...。

「ごめんごめん、愛くるしい顔してるからもう少しお兄さんになったらカッコよくなるだろうね」

 と、フォローをしておく。

『それならまぁ...、あ!失礼しました!つい取り乱してしまって...』

 顔を真っ赤にして謝って来る、かわいい。

 なんか甥っ子を思い出すなぁ、俺はちょっとホンワカとする。

『というわけで私、ローズとノヤーロの2名、現時刻より村の往復までの期間、護衛の任に就くこととなりました、よろしくお願いします!』

 という押しかけ護衛ながら腕の立つ二人が旅の仲間に加わった。

 それから2日、アミダラさんの仕事と村への出発準備を終えて俺たちは街から旅立った。


 なお風呂で一緒になったところノヤーロ君は立派な象さんをお持ちな事が判明した、ギャップがすげぇ。

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