第85話 いつも僕の心には
「なるほど、そういう事情だったのか、気づけなくてごめんな」
アイさんやメリル、カリン本人から目を開けられなかった事情を説明されて俺は謝罪した。
気づいてやれなくて何が兄(のようなもの)だ。
『お、お兄ちゃんは悪くないよ?あたしが言い出せなかっただけだから』
むう、納得はできないけどカリン本人が良いって言ってるのに掘り返すのも良くないか。
「それで、目を開けてみてどうだ?ハッキリ見えるのかい?」
そう、折角目を開けたんだから呪いが薄まっているのかどうかがポイントだ。
『ぼんやりと影みたいな感じ、うわぁお兄ちゃんってこんなにおっきかったんだ』
うっすらと視力は回復している感じかな?
「村に帰ったらネシンさんをみてみると良い、俺よりも大きいから」
目も開けられたしこれは良い兆しなのかな?
『でもちょっと眩しいかな?目、瞑ってて良い?』
カリンがそういうので俺はアイさんに聞く。
「魔眼って直視したら発動するんだっけ?」
そう聞くとアイさんは。
『そうじゃな、目を見なければ発動はせんぞい』
それを聞いた俺は予備のサングラスをカリンにかける、割とスリムで西陽除けの運転用に使っているやつだ。
『わぁ!眩しくなくなったよ!おにいちゃんありがとう!』
むう、素材がいいとサングラスかけても似合うな服装とは合ってないはずなのに。
「ゆっくり慣らして行こう、辛い時は目を瞑って良いからな」
俺がそういうとアイさんが。
『時にカリンよ、お主は通訳以外の魔法は使えないのかの?』
と、聞いてきた。
『使えないよ、教えてもらおうとした事もあったんだけど見えないから魔法のイメージが出来なくて上手くいかないの』
カリンがそう言うとアイさんは。
『ならば魔法を覚えてみないかの?
影だけでもわかるようになったのなら多少イメージをしやすくなったじゃろ?』
確かにカリンが魔法を覚えたら便利だと思うけど急にどうしたんだろう?
『くっくっく、怪訝な顔をしておるな?
エルフの伝承にあったじゃろ?魔法を編んで呪いを解く、と。
カリンの通訳魔法は素晴らしいのじゃが一般的な魔法が全く使えんとなると呪いに認められる基準を満たしていないのかも知れぬ、故に一般魔法からでも覚えていけば条件が満たされるかも知れぬからのう』
流石元王宮魔道士だな、旅で時間はあるんだから覚えられるものは覚えておいて損はないもんな。
カリンが本物の魔法少女になる日も近いな、良いね、魔法をかけて呪いが解ける...か。
そうして夜は更けていった。
明日にはセイゴの街に着けるだろう。
俺は若干ワクワクしながら眠りについた。
ワクワクの中に大儲けが入っているのは自分だけの秘密だ。
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