第75話 Get your motor runnin‘

 あの後、お礼にとアジもどきの干物を貰って帰っていた俺たちは出発の準備をしながら過ごし、夕食に干物を焼いて食べた。

 米の心配が減ったので手持ちの高級米と共に。

 つき立ての米も美味かったがやはり高級米は美味い!

 すっかり良い気分だったので缶ビールを一本開ける、米発見の祝杯だ。

『コラお主、1人だけ良いものを飲んでおるな?』

 と、アイさんが物欲しそうに見てくる。

 そういえばこの人実年齢80だっけ?

「ダメです」

 俺は即座に断る。

『なんでじゃー!この身体になってから一滴も酒を飲んでないのじゃぞ?ホレホレ、年長者を敬わんか』

 アイさんはそう言うけど心を鬼にして。

「その身体だからダメなんですよ、若いうちにアルコールを摂取すると成長阻害の恐れがありますからね」

 そう言って残りのビールを一気に飲み干す。

『ああ...』

 アイさんは寂しそうな目でそれを見ていた。

「まぁ俺は幼稚園から親父のビールの泡を舐めてましたけどね」

 そう言って片付けをして寝る準備に入る。


 ベッドに横になると即座に横にやってくるカリンとマリア、もはや定位置なんだけど添い寝するだけだから良しとしよう。

 今日はカリンの横にメリル、マリアの横にセリスさんも転がっている。

『お主ら...狭くないのかの?』

 アイさんが呆れ顔で言ってくるがダブルサイズはありそうなベッドだったのでなんとか寝れそうかな?

『えーいしょうがない、ちと起きて手伝え』

 そういうとアイさんは自分のダブルベッドを指差して。

『これも並べて広く使うが良い、ワシの身体じゃ無理じゃがお主なら運べるじゃろう?』

 と言ってきた。

「でもそれってアイさんのベットじゃないですか、アイさんが寝るところ無くなりますよ?」

 と俺が言うと。

『なんでナチュラルにワシを省こうとしとるんじゃ!どうせベッドに寝なくても雑魚寝じゃからワシも繋いだベットで寝るに決まっておろう?』

 そう言われて遠慮なくベッドを並べる。

 真ん中に俺が寝ると先ほどと同じ並びに寝るみんな。

 そこに。

『どーん!』

 と言ってアイさんが飛び込んできた。

「何してるんですか!」

 俺が言うと。

『どーせこんなに女子を侍らせておるんじゃ、ハーレムなんじゃろう?

 ワシも30年ほどご無沙「はいストップ!」

 俺はアイさんの発言を遮ると言う。

「いや流石に6歳児の身体で迫られても困りますよ?むしろ反応したら色々終わりますし、それに...」

 俺が言い淀むとアイさんが。

『どうした?もう反応しとるのかえ?』

 と若干下品な言い方で聞いてきた。

 俺は小声でボソっと。

「だって中身ババアじゃん?」

 というとアイさんは。

『キィーーーー!』

 と言いながら枕で殴ってきた。


 結局へそを曲げたアイさんの頭を撫ぜてなだめてるうちに気づけばみんなで雑魚寝していた。

 え?ラビ?

 こんなバタバタの中最初から最後まで熟睡してたよ、こいつ野生動物だよな?群に返して良いのか心配になってきた...もっとワイルドに行こうぜ!?

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