第68話 ちょっとした事でいつも
『すみませーん!』
路地裏の怪しげな店、そのドアを開けてメリルが声をかける。
流石に面と向かっていないうちに魔法通訳と言うわけにもいかないしこういう時はメリルがいてくれて本当に助かる。
『なんじゃ、騒がしいのう』
そう言いながらthe!魔女って格好で現れたのは...幼女?
「あ、すみませんお母さんかおばあちゃん?いるかな?」
店の子供だろうか?でも俺は
『この店はワシ1人じゃが?』
幼女は若干怒った様子で返事を返す。
困ったな...留守って事か?折角紹介状まで書いてもらったって言うのに...。
ガッカリと肩を落とす俺を見て幼女が言う。
『おいお前!その手に持っているのはなんじゃ!?』
「ああ、診療所からの紹介状だよ」
そう言って幼女に渡す。
パサリと広げて読み進める程に幼女の顔色がどんどん赤くなっていき...『キーーーーー!』と紹介状をビリビリに破り捨てた!
はぁはぁと息を切らしたあとゆっくり呼吸を整えた幼女は。
『お主が魔力切れで死にかけた男か?」
と問うてきた。
コクリとうなずくと幼女は。
『ちょっと鑑てやろう、そこに座れ』
と指示する。
えー?魔女さんが居ないなら出直したいんだけどな...と躊躇していると幼女は飛び上がって俺の頭を引っ掴むと椅子に押し付けた!
『ワシが魔女じゃ!怪訝な顔をするでない!』
と言って俺の目を見てくる。
えー?だってあの先生は...。
『ババアと言ったのじゃろ?まぁワシも80を越えたので言うなればババアじゃな』
と、にわかに信じられない事を言う。
『ワシは訳あってこの姿じゃが歳はあのジジイより上じゃぞ?まぁワシをババア呼ばわりするのはあいつだけじゃがな』
えー!マジか!リアルロリババアとか初めて見た!
『まぁ良い、事情は手紙で読んだ、鑑てやるから頭を下げて目を瞑れ』
そしてしばらくすると...。
『いやおかしいじゃろ!』
と叫んだ。
『お主何者じゃ!?こんな魔力パターン見た事ないぞ!?』
なんだろ?俺が異世界人だからか?
『今もうっすらと溜まり続けている魔力、これは一般的な
なんだそりゃ?身に覚えが無いぞ?
『とにかく興味が湧いた、じっくり調べてやるから裏にこい。
そう言って魔女はカーテンで仕切られたバックヤードのような場所に俺たちを呼び込んだ。
『そこに寝るが良い』
そう言われてベッドに横になる。
魔女は再び呪文を唱えると俺の背中に手を滑らせる。
途中「ん?」とか「むむ?」とか言っていたがなんなんだろうか?
『ふむ?こんなところかの?』
魔女はそう言うと俺から手を離す。
『どうやら特殊な魔力はお主の生命維持部分に溜まっているようじゃ、お主死にかけたときに誰かに魔力をもらったのか?』
そう聞かれたがその時俺は死んでいたので全く記憶にない。
その旨を伝えると魔女は頭を捻りながら。
『教会の人間が言う神力とは修行でとあるパターン、治癒や結界に適した魔力パターンに変質させたものじゃ、じゃがお主の根幹に溜まっている魔力はそれとも違う。
これはもしや伝説の聖法気やもしれん』
「聖法気?」
聴き慣れない言葉に思わず聴き直す、まぁこの世界に来てずっと聴き慣れないものばかりだけどな。
『神の使いと呼ばれる【使徒】様の魔力パターンじゃ天使様と呼ばれる事もあるそうじゃ』
どう言うことだ?俺が死にかけた(死んだ)ときに近くで天使が休息でも取ってたのか?
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