第57話 ウララウララウラウラで

『ここですね』

 セリスさんの声に看板を見上げてみたけど残念ながら文字が読めない...。

『マジックショップGって書いてあるわ』

 と、メリルが説明してくれる。

 しかしなんだその黒光してそうな名前は?

『すみませーん!どなたかいらっしゃいませんの?アミダラ商会のものですわ』

 マリアが言うには新規の店では商会の名前を出した方がいいとの事。

 なんか消防署のから来ましたみたいで若干気が乗らないがマリアは間違いなく商会関係者だからいいのか?

『あいよー、ちょっと待ってなー...』

 なんだかぶっきらぼうな感じだな。

 奥からダラダラと出てきた店主らしい男は不機嫌そうに顔を出すとマリアを一瞥し。

『うちは魔道士ギルド系の店だから商会関係だからって安くはできね...』

 と、俺をみると満面の笑みになって。

『あーら!素敵なお客さんがいるじゃなーい!』

 と言ってきた!

 デジャブだー!なんか知ってるぞこの反応ー!

「つかぬ事をお聞きしますが」

『なーに?』

「ワズマーミという名前に聞き覚えは?」

 そう問うた俺に店主は。

『何よー!貴方弟のお手つきなのー?』

 と聞いてくる。

 お手つきなんかじゃないわい!てかやっぱり関係者ってかワズマーミさんの兄ちゃんじゃん!


 後日ワズマーミさんに問いただしたところ。

『ヨーイチちゃんをアニキに取られたくないからー』

 との返事だった。

 実家が質の良い魔封石を売ってるのに紹介しなかった理由もそれだと。

 いや取られるって俺あんたのじゃないからね!?


 ワズマーミさんのお兄さん、名前はヨーズマ・エンカ・イ・ゲイというらしい。

 ワズマーミさんのように水に特化しているわけではなく適正は広く様々な属性の魔法が使えるが威力はさほどでもなくスコップに施したような補助効果が得意なのだそうだ。

 確かに魔封石を買っても込める魔法のツテがなければ宝の持ち腐れだな。

 武器じゃないのなら弱い効果を長期間使える方がお得感は強いしね。

 俺はフォースさんに作ってもらった弾頭に穴の開いた木製の空気銃シモンの弾を取り出す。

「ここにはめる魔封石が欲しいんですよ三十発あります」

『あら面白い物持ってるみたいね、ふむふむ、これを撃ち出す武器があって当たったら魔法を解放するわけね』

 なんだかんだで職人なんだろう、こっちの意図を正確に読んでくれる。

『お安い御用よ、明日の朝までには仕上げられるわ、ついでにサービスでいくつか魔法をこめておいてあげましょうか?』

 おお!それは助かる!試し撃ちもしたいし村に帰らないと強い魔法の当てはないからな。

「それなら...の魔法を...で...の魔法を...って感じで」

『わかったわ、魔封石なんだけど30個でいいの?同じサイズの石なら単品で余分に作れるけど?』

「では100個でお願いします、金額はおいくらぐらいになりそうですか?」

『そうね、本当なら金貨1枚に銀貨50枚ってところだけど金貨1枚に負けておくわ、弟の友達だしあたしの好みだから』

 背筋に寒気が走るが負けてくれるのならば我慢しなきゃ...なのか?

 察するに銀貨100枚で金貨1枚になるのかな?後でマリアに聞いてみよう。

「それでは明日の朝また来ますね」

 そう言って俺たちは店を出た。


 マリアに聞いたところ硬貨は100枚で上の硬貨1枚と同等らしく屋台のパンが銅貨10枚らしいのでざっと考えると銅貨が10円、銀貨が1000円、金貨が10万円ぐらいかな?

 5万も引いてくれたのか...いい人だなぁ...俺のこと狙い撃ちする気配がなければなお良いのになぁ...。

 俺は遠い目で景色を眺めた。

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