第50話 シモ振り明星
「ふぅー、生き返るー」
なんででかい風呂に入るとこう言ってしまうのか?別に死んでた訳でもないのにな。
アミダラ商会ご自慢の大浴場は確かに自慢できるほどの大きさだった。
多数の従業員を抱えている上に福利厚生として従業員に解放しているらしくちゃんと男女別の風呂になっていた。
別というか巨大な風呂を半分で仕切っているという感じだろうか?白濁の湯は温泉かはたまた入浴剤のようなものが入っているのか?お湯自体はつながっているようである。
壁の向こうではキャッキャとはしゃぐ声、可愛い義姉妹が入っている。
こっちは俺と雪うさぎ状態のラビ、身体を洗ってあげるなら変化より実体だろうという考えだ。
俺は身体を洗いラビも洗ってあげてから湯に浸かった。
そしてさっきの感想が漏れ出たというわけだ。
しかしラッキーな事もあるもんだ、道中偶然助けたお嬢さんの縁で塩の交易の為の身分証や資金の増額。
何より馬代も浮いたのだ。
あとはジムニーのガソリンが尽きるまでに何回交易が出来るかだなー、初回の儲けで自分用の馬を買う事も視野に入れなければならないかもしれない。
そうだ!1度目の交易が終わったらジムニーだけで村に戻ってネシンさんを連れてくるか!
昔馴染みのアミダラさんと飲めばきっと楽しいだろうし荷馬車を引かなければ二日有れば往復できそうだ。
そんな捕らぬ狸の皮算用をしながら湯を楽しんでいると何か音が聞こえるのに気づく。
デーデン!デデン!
なんか聞き覚えのあるメロディを口ずさんでる感じ?
デンデンデンデンデンデンデンデン!
あれ?これジョーズのテーマじゃね?
そう思った瞬間目の前の湯がバシャン!っと弾けて現れたのはサメ!ではなくマリアさん!?
「わぁ!」
驚いて声を上げながら「なんで異世界人がジョーズのテーマ口ずさんでるんだよ!」と心の中でツッコむ俺。
マリアさんは何か言っているようだがもしかして俺達男湯と女湯間違えたのか!?
やむをえん、緊急事態だ!
というかこの後の海までの旅に同行するならどうせ知っておいて貰わなければならないしな、ラビの変身も魔法も。
「ラビ、悪いけど通訳頼む」
そう言って俺は話しかける。
「マリアさんどうしました?もしかして俺達男女間違えて入ってます?」
マリアさんはキョトン?とした後驚いた様子で。
『え?このウサギちゃんも魔法で通訳ができるんですの?凄いですわ!でもこのウサギちゃんはどこから?』
ああ、脱衣所までは幼児形態だったもんな。
「ああ、この子はラビですよ。
こっちが本当の姿なんです、社会勉強で旅に同行してるんですよ」
マリアさんは驚きながらラビをモフモフする。
『可愛くて通訳ができるなんて素晴らしい子ですわ!なんて素敵なんでしょう!』
金髪美少女と可愛いウサギが戯れる姿(すっぽんぽん)とかなんのご褒美だろうか。
いかんいかん本題を聞かねば。
「すみません俺入る湯間違えてます?」
俺がそう尋ねるとマリアさんは。
『間違えておりませんことよ!
待ち伏せとか物騒な。
「え?何のために?」
俺は若干嫌な予感がしながら聞く。
『もちろん愛を確かめ合うためですわー!』
と、飛びついてくるマリアさんをはたき落とす!
バッシャーン!
『何でですの!』
髪から湯を滴らせながらマリアさんが聞いてくる。
落ち着け俺、言葉を選べ...。
「マリアさん、ラビは人間で言えばまだ幼児の年齢です、はしたない言動は謹んでください」
マリアさんははっ!とした顔をして。
『申し訳ありません、ヨーイチさんがあまりにも好みでしたので暴走してしまいましたわ』
と、頭を下げた。
好みと言われて悪い気はしないけどラビの前でエッチなのはいけないと思います!
「まぁ今日のところは裸の付き合いということでゆっくりお風呂に入りましょう」
俺はそう言って湯船に浸かる。
『そうですわね、私としては裸の突っつき合いの方が良いのですが』
おいこらマリア今のはイエローカードだぞ!
俺はラビを下ネタ平気ウサギにしたくないんだ。
これがアミダラさんが言ってた出会って3分で××のマリアさんか...ってか初めてお邪魔したお家でそこの娘さんと風呂でエッチとかするほど常識無い人間じゃ無いやい。
でも落ち着いてゆっくり見ると凄く美人だしスタイルも抜群で18歳、倫理観的にも思わず白濁湯の中で下の方が元気になるのはまぁしょうがない話だと思います。
その瞬間マリアさんがキッ!っとお湯越しに俺の股間を見る!
何?この娘勃起の気配でも読み取れるの!?どこの変女だよ!?
そんなこんなで俺はラビに変なことを通訳させないように気を使いながら風呂を堪能した後先に脱衣所へ出てラビを拭いてあげて服を着た、後でトイレ行こう(意味深)。
そしたら幼児形態になったラビが言うんです。
『ボクのことは気にしないで××すれば良かったのに!』
いや野生動物の倫理感!(粗品風)
俺はドッと疲れて割り当てられた寝室に向かうのであった...。
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