第41話 君は嘘の糸張り巡らし
食事を終えた俺たちはタープを片し出発の準備をする。
ジムニーに乗り込みながら荷馬車にかける幌をどうにかしないとなぁ...などと考えていた、
俺はジムニーのアクセルをゆっくり踏み込んだ。
カリンもメリルちゃんもお腹いっぱいになったのかウツラウツラしているのだ。
ラビに至っては乗り込んだ瞬間に雪兎に戻ってメリルちゃんの膝の上で寝てしまっている。
運転中同乗者が眠るのを嫌がる人もいるが俺は安心してくれてるんだなって思うタイプなので全く気にならない。
ましてや助手席を見れば可愛い寝顔の美少女がいて後部座席には膝に兎を乗せた少しお姉さんの美少女がまるで一枚の絵の様に寝ているのだ。
まさに眼福、護りたいこの寝顔!
特段急ぐ訳ではないのでゆったりと進んでいく。
みんな寝てしまったので運転しながら俺は今後のことを考える。
街に着いたらベーコンやホットサンドメーカーを売って資金を増やして宿か倉庫を借りて荷物の整理をしよう。
荷馬車に塩を積むためのスペースを確保しておかないとな。
海までの道と距離も確認しとかないと行けないな、メリルちゃんがいるのでそこらへんは問題なく聞けるだろうがそもそもカリンと出会ってなければ意志の疎通もジェスチャーしか無かったと考えると少し恐ろしくなる。
助手席にチラリと視線を移し可愛い可愛い妹を愛でる。
「挨拶や簡単な単語なんかは覚えとかないとな」
カリンが通訳をしてくれるけど何が起こるかわからない異世界だ備えあれば憂いなしだろう。
...
しばらく進むと先の方に一台の馬車が停まっているのが見えた。
が、どうにも様子がおかしい。
「カリン、メリルちゃん」
俺は二人を起こすと慎重に馬車の方へ進んでいく。
近づくと御者席に座っている男がムチを使って必死に馬を守っている、遠巻きに馬を狙っているのは...すごくでかいクモだった!
『あれは、ピンクスパイダー!ヨーイチ気をつけて!』
メリルちゃんが言うにはあれはクモ型の魔物らしい。
「倒してしまっても、構わんのだろう?」
フラグたっぷりに言ってみたが。
『武器が手に入ったからって調子に乗らないの!糸を吐くから気をつけて!』
と、怒られてしまった。
気を取り直して
ムチの戻りの隙を付いてピンクスパイダーが御者の男性を口と尻から出した糸で絡めとる!
やべえ!遊んでる場合じゃない!
俺は窓から乗り出し
バシュ!と飛び出した矢は狙いがずれ足を数本切り飛ばしただけ。
その痛みか衝撃か?ピンクスパイダーは男性を捉えていた糸を切り離し一歩下がり身構える!
「よし!今のうちに!」
俺はハンドルを回し次弾をセットする!
1mはあるでかいクモだが次は外さない!
不意に頭の上を影が通り過ぎる!ピンクスパイダーと同じくらいでかい蝶が飛んでいる。
その瞬間!ピンクスパイダーが糸を吐き蝶の胴体を捉えて引き寄せるとムシャムシャと食べ始めた!
「嘘...だろ?」
蝶の胴体を食い尽くしたピンクスパイダーには蝶の翅が生えていた...。
フワリ
翅を羽ばたかせるとピンクスパイダーの身体が宙を舞う。
鳥の飛び方と違いヒラヒラと飛び回るので狙いが定めづらい!
バシュっと射てみたが当たらないので引鉄をロック!短矢をばらまくが上手くヒットしない!
「くそっ!射撃精度が足りん!」
俺は
すでにジムニーは停車しているのに当たらないのだ!
ポンピングを終え弾をセットするとピンクスパイダーがこちらを向き糸を吐き出す!
俺はとっさに頭を引っ込めると糸はそれを追ったのかフロントガラスに貼りつく!
ピンクスパイダーとジムニーが糸で繋がった事で羽ばたきに上下動が小さくなった!チャンス!
俺は大きく息を吸うと動きを読みながら引鉄を引く!
撃ち出された弾は狙い通り翅の付け根に命中!
蝶の翅ぐらいならブチ抜けると踏んだが正解だったようだ。
傷ついた借り物の翼では上手く飛べず真っ逆さまに墜落して行くピンクスパイダー。
俺は
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