第34話 髪をほどいた君のしぐさが

 狩りに行くメンバーだが俺、カリンはもちろんなんだがメリルちゃんがついて行く!というと心配なのかネシンさんもついて行くことになった。

 メリルちゃんは髪をアップにして動きやすい恰好で気合が入っている。

 撃っていい鳥や獣が良くわからない俺は特に断る理由もないので即席4人パーティーといったところか。

 相棒1号シモンを持ってきた理由として獣は良いが小鳥等だと相棒2号ヘイズの連射は精密射撃しにくいし全力で打つと食べる場所が無くなってしまうだろうからだ。

 しばらく森を歩くとチョッ!チョッ!と聞いたことのない鳥の声。

『お、ブージェネかあいつの肉は旨いぞ』

 ネシンさんの言葉に俺は相棒1号シモンに弾を込めてポンピングをする。

 声を追うと木の上には鳩ぐらいの大きさの色鮮やかな鳥が居た。

 ゆっくりと狙いを定めて息を止める、その時後ろの誰かがカサッと音を立て飛び立とうと身を低くするブージェネ!

「待てよ!」

 と引き金を引く!パン!という小気味いい空気音と共に弾は命中、木から落ちるブージェネ。

『ほぉ!上手いもんだな、どういう構造なんだそれ?』

 ネシンさんに弾を見せ圧縮した空気で撃ちだすことを説明する。

『なるほど、お前さんワズマーミから矢じりに魔法を込めてやるって言われたようだがこの銃の弾を魔封石で作ったほうが使いやすいんじゃないか?そのボウガンよりこっちのほうが使い慣れてるんだろう?』

 その手があったか!高威力&広範囲攻撃のボウガンと魔法銃の2丁持ちとか厨二心をくすぐるぜ...。

 そんな話をしている間にブージェネを拾ってきて逆さに吊るすメリルちゃん、村の子は手際がいいなぁ。


 ガサッ!その瞬間茂みからキジや山鳥のようなフォルムの鳥が飛び出して吊ってあったブージェネをかっさらう!

 うお!俺の獲物!

『ラレションか!?持ってかれるぞ!撃て!』

 俺は相棒2号ヘイズを構えると山鳥ラレションに向かって撃つ!

 サッ!

 何!?かわしただと!?

 謎竹で強化したボウガンは矢の射出速度も並じゃない!尻尾を含めず1mほどある大きな体でこの速度をかわすとは!

 だがまだだ!

 俺は引き金を引き切ったまま腰だめに構えなおしてハンドルを回す!

 連続で速射される短矢の嵐!

 さすがにこれはかわしきれず2~3本の矢を受けうずくまる山鳥ラレション

 俺は引き金を戻しハンドルを回す。

 ガチンとロックしたところに長矢をセットして...バシュ!

 矢は山鳥ラレションの頭を吹き飛ばした。


 またトテトテと当たり前のようにブージェネとラレションを回収してくれるメリルちゃんを尻目に俺はまき散らした短矢を拾い集めるのだった...。

 便利だけど片付けが面倒だな、短矢はいっぱい作ってもらっておこう。

 こうして俺の異世界での初狩りと相棒2号ヘイズの試し撃ちは無事終わり、血抜きや下処理が終わって髪をおろしたメリルちゃんのほっとした表情を見て俺も胸をなでおろした。


 ちなみに山鳥ラレションは別名をと呼ばれる鳥で狩りの獲物を横取りする習性がある素早い鳥らしく、仕留められるなら実戦的に問題ないだろうとのことだった。

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