第32話 相棒 season2
なし崩し的にメリルちゃんを街まで乗せていくことが決まったわけだが一つ問題がある。
正直街まではジムニーでひとっ走り、獣や魔物が出たら速度を上げて逃げるかどうしようも無ければ轢くしかないと思っていた。
しかし今ジムニーにはサスを強化したとはいえ荷馬車がついている。
普通に走るのは問題ないが緊急で飛ばしたり小回りを利かせて跳ね飛ばすような動きは出来なくなってしまった。
「何か武器が欲しいな」
俺の手持ちの武器といえば鳥さんが精いっぱいでおなじみの
ちなみにこの世界の危険な生物は”獣”と”魔獣”と”魔物”に分類されるらしい。
サーベルピッグは肉食の獣でアルミラージは獣寄りの魔獣、ゴブリンは底辺の魔物ということだ。
獣と魔獣、魔物の違いは体内に魔石を持っているかいないかだそうだ。
大まかにいうと普通に繁殖する魔石を持たない動物が獣。
繁殖は普通だが生まれた時から体内に魔石を持つものが魔獣。
魔石から発生したり魔石を介して繁殖するのが魔物だそうだ。
この世界のゴブリンが女性を攫って姦すのも所謂受精卵が目的ではなくゴブリンの精液に混じる小さな魔石を女性の胎内に放出することでその魔石から子ゴブリンが生まれるそうだ。
なるほど、ラノベ等でゴブリンに襲われた女性がお腹を大きくして子ゴブリンをポコポコ産み落とすのを見て「何つ子だよ!?」って思ってたけど別に受精しているわけじゃないんだな。
ゴブリンは原始的な魔物で繁殖に
そして何かの原因で死亡した魔物や魔獣からとれる魔石からは再度発生することは無く魔方陣やマジックアイテムの素材になるらしい。
武器といえば村の防衛をしているネシンさんに聞くのが一番と思い相談したのだが...。
『武器?切れる剣の一本もあれば充分だろ?』
と言われてしまった。
ダメだこりゃ、この人有能な脳筋だわ。
次に訪れたのは鍛冶師のイアン・シュミットさんのところだ。
槌をふるう鍛冶のほかに彫金魔法という魔法が使えるらしく大物から細工物までなんでも作れる凄腕だ。
『なるほど、武器か』
俺の相談にイアンさんはチラリと並べてある剣を見た。
「あ、俺剣とか槍とか使ったことないんですよ、出来れば遠距離から攻撃できる物があるといいんですが」
『それならこのボウガンはどうだ?大型の魔物や魔獣には効かないだろうが獣なら中型まで仕留められるぞ?』
ボウガンか、狙いを定めて引き金を引く練習なら
『ただ弓の部分が壊れやすくてな、無理な使い方をするとあっという間に壊れるぞ金属だから疲労すると戻らなくなるしな』
おや?ごく最近ぴったりの素材を使った気がするぞ?
俺はイアンさんを連れてフォースさんのもとを訪ねた、忘れずに水カッタ...ワズマーミさんもつれて。
『これは!これなら軽量化も見込めてさらに使いやすいボウガンが作れるぞ!』
というわけで試作をしたんだけれどもこれがまたなかなかなものが出来た。
矢をセットして引き金を引くとシュン!っとすごい勢いで飛んでいき岩に刺さったのだ。
岩の端のほうに当たったやつなんか岩を砕いて飛んで行ったからな!
『コイツなら大型の魔獣相手でも使えるぞ!ただ問題は...』
イアンさんが見つめる先には俺とフォースさん、ワズマーミさん三人がかりで必死に弦をセットしている光景があった。
これじゃぁ使い物にならないということで俺が提案したのがハンドル巻き上げ式の機構だ、イアンさんの彫金技術でギアを作ってもらい横につけたハンドルを5回転ほどさせると弦を巻き上げてセットしてくれる、ついでなので引き金を引いたままロックするとハンドルひとまわしで軽い射出になる機構もつけてもらいボウガンの先端に短矢ボックスを取り付ける。
一台で低威力の短矢連射と高威力の矢の射出が出来るボウガンが出来上がった!
俺のアイデアを使っていいかと尋ねられたのでもちろんと答えたら試作機を無償で持っていけと言ってくれた、正直代金や報酬は物々交換しなければならないと思っていたので非常に助かった。
新しい相棒の名はヘイズだ、勿論シモヘイヘのヘイヘから取っている。
こうして俺は旅の準備が整った...と思っていた。
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