第25話 最低だ...俺って...

 酔った...しこたま酔っ払ってしまった。

 俺とネシンさんは酔っ払いながら呂律も怪しい状態で会話していたのだがそれを忠実に読み取って通訳してくれるカリンのおかげでグダグダにならなくて済んだ、なるほど、こう言う利点もあるのか?と思っていたがもう限界。

 ネシンさんも

『客間で寝てくれ』

 と言って寝室に向かってしまった。

 俺はカリンに肩を借りながら客間のベッドに寝転んだ。

 藁のベッドにシーツをかけてあるだけなのでちょっとチクチクするのでマットかシュラフを取りに行きたいところだがもう一歩も歩けそうにない。

 俺は目を瞑ると眠りに落ちていった。


 ...


『お兄ちゃん、お兄ちゃん』

 揺り起こされてハッと目を覚ますとそこにはマットとシュラフを持ったカリンが立っていた。

『ベッドがチクチクしてそうだったから持ってきたよ、これで良かった?』

 なんて良い娘なんだろう、お兄ちゃん嬉しすぎて涙出てくらぁ!

 などどアラフォー以上じゃないとわからないネタやってる場合じゃない、まだ酔ってるな俺。

「ありがとう、助かるよ」

 そう言って受け取ったマットをベッドに乗せシュラフを敷いて横たわる。

『でね、お兄ちゃん』

 カリンはモジモジしながら切り出した。

『この客間って元は私の部屋なの、だから一緒に寝ても良い?嫌だったらピメリのベッドに行くけど』

 そう言われた俺は一瞬ドキッとしたがお互い兄妹きょうだいのように思っているのでたまには妹と一緒に寝るのも良いのかな?と思い。

「いいよ、おいで」

 とシュラフをめくってカリンの手を取る。

『わーい!お兄ちゃんありがとう!』

 カリンはそう言って隣に滑り込んできた。

 セッケンノイイニオイガシマス。

 いかん思わず片言になってしまった。

 いやカリンは森の中で飲み水にも困る生活をしていたわけだ。

 故に実は会ってからずっと“少女の甘酸っぱい匂いの酸っぱい増量中”みたいな感じだったわけなんだけど...

 実家?に帰って水も使えたらそりゃ風呂に入るよなぁ。

 いかんちょっとドキドキしてきたぞ、44歳でもあっちの方はバリバリの現役なのでこんな良い匂いのする可愛い子が隣に寝てたらちょっといろんなところが元気になりかねない。

 などと考えながらカリンの頭を撫ででいたのだが...

 あれ?俺ってこの世界であっちの方が我慢できなくなったらどうすりゃいいんだ?

 カリンに易々と手を出すわけにはいかないしこの世界で夜のお店の常識もわからないしこっちの通貨もまだ持っていない。

 スマホにエロ動画入ってたかなぁ...?

 そんな事を考えながら眠りに落ちた...。


 ...


「いやー、やっぱり君は面白いねぇ!

 こーんな可愛い娘が横で無防備に寝てるってのに手を出すどころかエロ動画の心配なんてw」

 なんだか聞いたことのない声から笑われてしまった、誰だ?

「あたし、魔女のキキ!こっちはレディのガガ!」

 嘘つけ!真っ白な服着てる上に横に世界的シンガーもいないのに信じられるかよ。

「いや誰だよ」

「アッハッハ!悪ふざけが過ぎちゃったね、あたしはアメリ、この世界の女神よ」

 はい来ました女神イベント!遅れてからチートもらえるパターンか!

「まぁこの夢の記憶は消させて貰うから自己紹介しても意味ないんだけどさ」

 女神様はそう言って口笛を吹く。

「聞きたいことは色々あるだろうけど先に言っておくね、あたしは君を召喚してないしこの世界の人間も召喚してない、君がここにきたのはただの事故、交通事故みたいなもんだから。

 交通事故で異世界って聞くとラノベっぽいかもしれないけど純然たる事故だから」

「じゃあ俺は何をすればいいんだ?」

 疑問に思い問う俺に女神様は。

「好きに生きればいいんじゃない?帰りたかったらそれを目指せばいいしここで余生を楽しんでもいい、基本君のことは神界からはノータッチだからこういうのもバレたら怒られるし」

 こういうのってこの夢のことか。

「じゃあ俺にチート能力は?」

「無いしあげない、いいじゃん!君おっさんなのに基本スペック高いから結構生きていけるって」

「じゃあなんでこんな夢を?」

「おっといけない忘れてた、ちょっと魂に刻みに来たんだよ『君はガソリンがエンプティになったら何があっても安全な場所に停めて待機する』っと、これでオッケー!」

 いや何がオッケーかわからんのだけど。

 やっぱ異世界の女神って美人だけど残念なのが多いのかな?

「コラコラ誰が残念だよ、失礼だな君は」

 コイツ!直接脳内を!?

「いや神だから読もうと思えば幾らでも、さっき先手を打たせてもらったのもこの力のおかげさ」

「んで俺は何を刻まれたんだ?」

 俺の問いに女神アメリは人差し指を顎に当てながら。

「んーっと、安全の心得?ってやつかな?」

 よくわからん。

「わかんなくても大丈夫だよー、魂に刻み込んでるからー、さてこれで用は済んだしあんまり長居するとバレて怒られるから戻るねー、記憶消すから意味ないけど言っときたい事ある?」

 俺はとりあえず今一番困った事を解消すべく意を決して言った。

「なんのチート能力もくれないんだったらせめていてってくんない?女神様美人だし!」

 ...

「あっはっは!君本当に面白いねぇ!流石にアタシのこのスェクスィヴォディーでしてあげる事はできないけどまぁそういうの嫌いじゃないよw

 こんなにスケベなのに紳士で居ようとするところも面白いからねぇ」

 女神はそう言って俺の前にズイッとやってくると親指と人差し指で俺の顎を摘む。

「まだまだ面白いところ見せて欲しいから過ぎて死なないでね」

 そう言ってキスをして舌を絡ませる。


 ...


 なんだよこれ...

 夜中に目が覚めた俺が気づいたのは異常なまでの腰の怠さとパンツいっぱいにエッチなお漏らしした自分の姿だった...。

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