第24話 この瞬間のために生きてる
バラ肉を粗方ベーコンに仕込み終わった頃ネシンさんが様子を見にきた、もちろん通訳のカリンも一緒に。
『そんなに贅沢に塩を使うのか?』
ネシンさんはそう言うが普段ベーコンを作るときの量とさして変わらないのだが。
そう伝えるとネシンさんは説明してくれた。
『ここら辺は海が遠いから塩は貴重品なんだ、街まででるなら資金源として持っておいた方が良かったんだが...』
え?マジですか?でも確かに丘の上から見た時も平野ばっかりで海は見えなかったな。
ええい!作っちゃったものはしょうがない!
塩が貴重ならベーコンも売れるだろう。
俺は塩漬けのバラ肉を氷が入ったクーラーで寝かせる。
そして始まる宴、テーブルにはとても美味しい馬料理が並ぶ。
なるほど不本意ながら肉がいっぱいあるとはこう言うことか。
ネシンさんに聞くと事故などで死んだ馬は食べて供養した後骨を埋葬するらしい。
「ジーク...」
メリルちゃんは悲しそうな顔をしてそう呟いたが料理はしっかり食べていた、これがここでの当たり前なんだろうな。
『ジークを運んでくれたおかげで肉も取れたし供養も出来た、感謝する』
ネシンさんはそう言うと俺のコップに酒を注ぎ氷と水で割る。
初の異世界の酒である、俺は期待しながらコップを傾ける。
サイトやラノベだとこう言うときは
「黒霧やねーか」
飲み慣れた味につい博多弁が出る。
まさかまさかの芋焼酎!?
『クロキリ?』
ネシンさんが不思議そうな顔で聞いてくるので俺はジムニーから黒霧島を持ってきてネシンさんのコップに注ぎ水割りにする。
「俺の世界の酒なんですが似てるでしょう?」
水割りを飲んだネシンさんは
『確かに似てるな』
と感想を漏らす。
これはアレですか?異世界お約束の
「おー!これが異世界の酒かー!」
のパターンは無いと考えて宜しい?
ならばと俺は氷で冷やしておいた缶を取り出す、ゴールドの缶に神様がプリントされた贅沢ビールだ。
ネシンさんの空になったコップに注ぐとじっくり見た後に
ゴクッゴクッゴクッ!
と喉を鳴らして飲み干す。
あー、これは完全にビールの飲み方だわー!知ってるわこの人ー。
『ぷっはぁー!くぅー!このラガーはスッキリしてて飲みやすいな!気に入った!」
なんだよおい、ミサトさんみたいな声出してんじゃねぇよ。
流石はエビちゅビールってとこか。
などと阿呆なことを考えて飲んでいるうちに夜は更けて行くのだった。
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