第12話 トニカクカワイイ
「やばいやばいやばいやばい!」
俺はそう言いながらジムニーを飛ばす、といっても事故らないように気を付けながら。
間もなく森の入り口だと思うがここまででも徒歩なら嫌になりそうな距離がある、事故って車無しなんて絶対無理だしそもそもジムニーは俺の愛車、ぶつけるなんてとんでもない!…まぁ
兎にも角にも森の入り口まで逃げなければ!と思ったら白い何かが林道に飛び出してきてあせりつつも急ブレーキ!何とか轢かずに止まれた。
いったい何がと思って見てみると車に驚いたのかウサギが蹲っている。
狩猟中であれば良い獲物だと喜ぶところだが今の俺は逃走中、流石にもう追いつかれはしないだろうけど早く遠くに行きたい。
「ほら、何もしないから早くお逃げ」
極力優しく声をかけたらウサギは起き上がりこちらを一瞥して森の木々の中に逃げていく。
うん、そうだな兎にも角にも森の入り口ってさっき思ったよ?でも今のウサギなんか角生えてなかった?俺の見間違いかな?
気を取り直してアクセルを踏み森の入り口までたどり着いた俺は左折して来た道を戻る事にした。
メリルちゃんが積んでいた荷物を見る限りどこかからの帰りなんじゃないかと思えたのでそちらに向おうと思う、流石にいきなり殺されそうになることはそうそう無いだろう。
と、ハンドルを切ろうとした瞬間に後ろの森からガサガサっと音がする、視線を向けるとさっきの角ウサギがこっちを見ていた。
「お、お見送りしてくれるのか?ありが…」
俺は感謝の言葉を続けることが出来なかった、まわりじゅうからガサガサガサガサ音が鳴り始め角ウサギの集団に囲まれたのだ、それだけならまだ可愛いですむのだが…そいつらが一斉に笑ったのだ、まるで獲物を見つけたかのように。
左右に引き伸ばされた口の中にはウサギらしからぬ、まるでサメのようなギザギザの歯が見えた。
「いやおかしいだろぉぉぉぉ!」
俺は再びパワードリフトで左折!アクセルを踏みすぎて逆ハンカウンターで綺麗なドリフトまで披露しながら逃げ出した。
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