第13話 雨、逃げ出した後
「なんなんだよいったい?」
俺は若干震えながらアクセルを踏む。
そりゃ
可愛いウサギの顔でやっちゃいけないランキング1位更新だよあんなの、ジャパニーズホラーでも見てる気分だったわ。
しばらく行くと道沿いから森の木々が無くなり草原に道があるだけになった。
あんな森二度と近寄るもんか。
そう決意した瞬間。
ポツン...
とフロントガラスに雨粒が落ちてきた。
俺はしめた!と思いジムニーを停めてレインウェアを着込み予備の水タンクとじょうごを取り出して組み合わせて地面に置く、結局小川さえ見つからず手持ちの水は20リットル一缶のままである。
メリルちゃんの服装的にヨーロッパっぽいので水質など心配ではあるが流石に沸かせば飲めるだろうしそのままでも洗い物や雑水としては問題ないだろう。
俺はロールテーブルの土台をタンクにかぶせるように設置すると携行用テントのフライシートを受けた雨がじょうごに流れるようにかける。
これで放っておいても雨が貯まるだろうと思ったが雨足が弱いと満タンにならないかもとシリコン製の折りたたみバケツを取り出して拡げ、地面に置こうと思った瞬間バケツをひっくり返す雨が降って来た。
え?比喩表現間違えてるって?残念ながら間違ってはいない、手に持ったバケツをひっくり返す雨が降って来たのだ。
大粒なんて生優しいものじゃない雨が瞬間的に大量に降って来たお陰でタンクは瞬く間に一杯になりすぐさま蓋をして車に積みテーブルの土台やフライシートも片付ける。
そうやって作業している間にも雨は降り続きレインウェアを脱いで運転席に乗り込んでも止む気配は無かった。
やがて平原全体を水の膜がうっすら覆うほどに降った後雨はピタッと止んでしまった。
川もないのになぜ一面の草原が青々としているのか不思議だったがおそらくこの雨は定期的に降っているのだろう、乾きで死ぬ事は無いようなので一安心した。
そのまま先へ進もうとした瞬間背後の森の端がガサガサッと音を立てた、さっきのことがトラウマになっている俺は即座にアクセルを踏み込もうとしたが飛び出して来た物の正体を見て踏みとどまった。
そこには目を瞑り大きめの木のボウルを持った緑髪の少女が立っていた。
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