第11話 神の意思
「やっばぁ!マジ面白すぎ!」
あたしは水晶に映し出された男の無様な姿を見て笑い転げた。
クックック、助けた、フフフ、女の子に、アッハッハ!誤解されて殺されそうになるとかもう一流のコメディアンでしょ彼!
「どうしたのアメリ?いきなり笑いはじめて?」
声をかけてきたのは先輩女神のウズメさんだ。
「いや先輩聞いて、いや見てくださいよこの記録映像!めちゃくちゃ面白くないですか!?」
そこには洋一の起床から殺されかけるまでを面白おかしく10分ほどにまとめた映像が流れている、ご丁寧に最後は洋一が感じたように顔の周り以外が黒に染まって「to be continued」という表示が出て例のBGMまでつけてあった。
「何これ?YouTubeでも見てたの?」
あまりに出来すぎた映像にそう尋ねるウズメ先輩。
「いや違うっす!編集したのはアタシですけど実際にあった記録映像っす、コレ先輩の担当地区のニホンジン?ですよね?」
そう言ってウズメ先輩の返事を待つ。
「確かに日本人ね、どうしたのアメリ?勇者召喚でもしたの?」
日本人...異世界転移や異世界転生を創作内ではあるが常識として捉えている彼らは別世界に来るときにスムーズに納得してくれる上に勝手がわかって居るからか少量の加護で大きな能力を得て渡ってくる、故に担当地域に厄災、所謂魔王などが発生した時は優先的に選ばれやすい、おまけに程よい道徳感や真面目な性格は勇者としても適性が高いのだ。
「いやアタシの世界は魔王なんてカケラさえ出現していませんし呼んだ覚えも無いんですよ」
アタシのその言葉にウズメ先輩はしばし考え込んで。
「じゃあただの
と呟く。
「そうっすね異世界からの異物の警報が鳴ったので見てたんですけどただのヒューマン、
アタシは身体を伸ばすように背伸びをする、あまりにも面白すぎてずっと前のめりで観察していて身体が固まってしまっていたのだ。
「それじゃぁ彼はチート能力などは...?」
尋ねるウズメ先輩に。
「ちーっともありませんね」
苦笑いしながら答えるアタシ、神しか居ない天界で毎日世界の管理なんかしていると暇で暇で思考がオヤジギャグになってしまうのだ。
「それなら末路はいつもどおり2通りかしらね...」
若干暗い顔をするウズメ先輩、
何も持たずに来た者はなんだかんだ一般人になる可能性が高いのだが元の世界の物を持ってこれた者ほど野垂れ死ぬことが多い、道具などで便利に動ける分それが無くなったり使えなくなった時にすぐ死にやすいのだ、彼の場合愛車のジムニーのガソリンが生命線だと思う。
「
そう言ってウズメ先輩は仕事に戻った。
正直先輩の言うように
「ちょっとした投げ銭レベルなら良いよね?」
アタシからのプレゼントと先輩の祈りを使ってちょっとだけ小細工をする、まだまだ彼に楽しませて貰いたいから。
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