第9話 誤解も6回も無いわ!

「おとうさぁーーーん!」

 はそう叫びながら駆け出した。

 街までの野菜の配達と買い出しの帰り、私は襲われた、サーベルピッグに。

 この辺りにはあまり生息していないはずだけどたまにハグレた個体が出ることがあると父に聞いてはいたが驚いて荷馬車を停めてしまったのが良くなかった。

 私の愛馬であるジークが一瞬で倒されてしまいもうダメかと思った。

 そこに見たこともない獣?魔獣だろうか?とにかく体当たりしてきて私を助けてくれた。

 そして村はもちろん街でさえ見たこともない黒髪黒目の男が現れサーベルピッグを木に吊るし始めた、私は恐ろしくてそっと様子をうかがっていたが見つかってしまった、仕方がない、荷馬車には村に運ぶ大事な物資が載っているしジークは倒れてしまっていたから。

 言葉が通じない男が身振り手振りで「コイツは倒した、安心しろ」と言っているように感じたので信用は出来ないが必要以上に警戒するのはやめた、どうやら名前はヨーイチのようだ。

 それは正解だったとその時は思った。

 なぜなら彼は私の大事なジークを荷馬車に乗せてくれようとし始めたからだ。

 私も手伝い、とても重かったがジークを乗せることが出来た。

 彼は荷馬車を自分の魔獣に縛りつけ私も乗せてくれるようだった、怖かったが乗ってしまえば揺れも少なく快適だと思った、村への道を曲がるまでは。

 村まで一本道になった途端奴は私を拘束したのだ!

 このままでは村が襲われる!そう思った私は必死に抵抗したが拘束は緩むことなく先ほどジークを押し上げたせいで私は力尽きてしまった、私だけならどうなったって構わない、どうせあのままならサーベルピッグに殺されていたのだ、乱暴されてもしょうがない。

 だけど村には両親や同年代の友達が居る、みんなが危ない!

 そう思いながら村に着いた瞬間、奴は私の拘束を解いた!私は最後の力を振り絞り走った!そして力の限り叫ぶのだ!

「おとうさぁーーーん!助けてーーー!」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る