第8話 ムラへ…
なんとか最低限の意思疎通が出来たようだがとりあえず肉食獣?がうろついてるところに長居するのは得策ではない気がしてきた。
俺は荷馬車をのぞき込むと仕入れ?買い出し?の帰りのようで野菜などが荷台の半分ほどを占めている。
メリルを見るとこと切れた馬の首を撫ぜながら涙を浮かべている、大事な家族だったのかもしれないな。
俺は馬から装具品を外し荷馬車を後ろ向きにすると馬を乗せ...重い!
そうだよな、馬は軽い種でも数百キロはあるよな...ここで軽々と乗せれたらかっこいいんだろうけど乗せると言うより引きずる感じで少しずつ動かす。
それを見たメリルも微力ながら手伝ってくれる、
二人掛かりでやっとのことで乗せ終えた時にはもう息も切れるほど疲れていた、俺は車からラップを出すと馬の首に巻く、少しでも血汚れを減らしたいからな、そのまま血抜きの終わった
結構な重量になったのでジムニーを荷馬車の前に移動してロープで固定する。
メリルに手招きすると素直にやってきたので地面に家の絵を描き道の前、後ろと指差してみた。
思った通り帰りだったようなので荷馬車の進行方向を指すメリル、そこで地面に分かれ道を書きメリルを指差して右左と指差してみる。
分岐があったら教えてねという意味を込めて。
メリルはコクコクと頷いたのできっと通じてると信じたい、準備が整った以上危険な場所に留まる必要はないのでメリルを助手席に...おっといけない助手席の荷物も荷馬車に載せなければ。
空けた助手席にメリルを座らせようとしたら怯えて乗ろうとしないのでまず自分が乗ってから降りて安全をアピールするとしぶしぶ乗ってくれた。
運転席に乗りエンジンをかけてゆっくり発進する、荷馬車を引いているし彼女は車が怖いようなので。
道なりに進みながら見渡すと右側は森、左側は草原が続いている。
「どこなんだろ?ここ?」
思わず口に出すが言葉が通じないメリルは不思議そうな顔をしていた。
しばらく行くと急にメリルが何か騒いで森の方を指差す、とっさにブレーキを踏むがメリルが前に倒れそうになったので左手を出して支える、なお上手く肩を支えられたのでラッキースケベは発生していない。
森の方を見ると木々の間に道がある、ここで曲がれという事だろう、右折して走り出しふと思い立ってメリルの肩口からベルトを引き出しカチっと固定、危ないからね。
その瞬間メリルが血相を変えてベルトを引っ張った!勢いよく引っ張った物だから本来の機能通りガチっとロックされるベルト。
車乗った事ないのかな?と思うが安全のためだあえてそのまま進む、しばらく引っ張ったあとメリルは諦めたようにベルトから手を離してグッタリする、今ゆっくり引っ張ればベルト動くんだけどね。
気のせいかメリルの目に生気が無い、所謂レイプ目になっている気がする。
しばらく走ると木々の間が広くなっていき広場のような場所に出た、木造の小屋と奥には石造りの家が見える。
やはりヨーロッパかどこかなのだろうか?と思いながら車を停めて助手席側に回る、ドアを開けたところでメリルのベルトを解除していない事を思い出して体を伸ばして解除ボタンを押す、その瞬間!
俺の脇をするりとすり抜けてメリルが家の方に駆け出した。
そんなに慌てなくても良いのになぁと思いながらおれはジムニーと荷馬車を繋いでいたロープを外し助手席に荷物を戻し始めた。
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