第32話 貘睡眠症(新薬完成)

 マツリソウ:人間の皆さんこんばんは、ナレーター兼メイドのマツリソウにございます。貘睡眠症の構造解明に成功した瑠空院長はその足で妖凱製薬本社にある研究所へ向かい新薬開発に着手するのでした。


 魔界時間23:01 妖凱製薬グループ本社敷地内 薬学研究所


 所長:これは驚きだ!まさか、貘睡眠症の正体が夢見斑の鱗粉と貘の体内に生息する寄生虫の持つ病原成分がベルゼバエの体内で融合して化学反応を起こしたものだったとは!


 研究員:それに対抗するのが焙煎蛾の鱗粉なのですね?

 

 瑠空:はい。ですが、


 所長:と、言いますと?


 瑠空:この仙覚草の花粉と均等な割合で配合しないと特効薬は完成しないんです。ほんの数ミリグラムでもどちらかが多いと一からやり直しになるんです。


 所長:なんと!


 研究員:だとしたらを使うしかないようですね。


 所長:そうだな、完全な比率で配合するならしかないな。


 目の前の操作パネルに手を当てると天秤の様な機械が現れる


 所長:これはフェムトグラム単位の誤差も調整出来るものです。これを使えば新薬は完成したも同然ですよ♪


 研究員:材料はどれくらいありますか?


 瑠空:用意できたのは3回分です。


 所長:失敗は許されませんな。君、直ちに始めてくれたまえ。


 研究員:はいっ!


 材料をセットする


 研究員:では、分量調整を行います・・・誤差、0.001フェムトグラム。


 所長:調合開始!


 研究員:了解、調合を開始します!


 中央の小瓶に水色の薬が出てくる


 所長:成分解析を。  


 研究員:はい・・・ダメです。薬効反応ありません!


 所長:もう一度だ!今度は更に比率を上げて0.0001までやってみるんだ!  


 研究員:はいっ!


 赤い薬が出てくる


 研究員:ダメです、薬効反応ありません!


 所長:これが最後のチャンスか!


 瑠空:・・・あの。


 所長:はい?


 瑠空:双方の比重にズレが生じるのはからではないでしょうか?


 所長:す、直ぐに計量を!


 研究員:はいっ!・・・こ、これは!


 所長:どうした?


 研究員:瑠空院長の仰る通り、仙覚草の花粉よりも鱗粉の方が僅かに重いです!


 所長:な、なんだと⁉︎そうか、先程からのズレの原因はそれだったのか!では、鱗粉の量を減らしてもう一度やってみたまえ!


 研究員:はいっ!


 虹色の薬が出てくる


 所長:ど、どうだ?


 研究員:・・・や、薬効反応を確認!脳波覚醒促進反応のうはかくせいそくしんはんのうに間違いありません‼︎


 所長:か、完成だ!我々はあの難病である貘睡眠症の特効薬完成に成功したんだ!これは魔界宇宙の薬学史に残る世紀の大発見だ‼︎


 瑠空の手を握る


 所長:瑠空院長、貴女のお陰です!  


 瑠空:では早速患者さんの所へ。


 所長:そ、そうでしたな。


 研究員:そ、その前に臨床試験をしないと!


 2人:あ。





 

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