第31話 貘睡眠症(構造解明後編)

 マツリソウ:人間の皆さんおはようございます。ナレーター兼メイドのマツリソウにございます。貘睡眠症の解明の糸口を見つけた瑠空院長、仙覚草から得たその答えとは?


 翌日 魔界時間9:31 ビーストヘッジ工科大学 生物学部研究棟


 瑠空:お待たせしました〜♪


 カナコ:あ、おはようございます♪瑠空さん、ここは?


 瑠空:ここはリバイアス国際医科大学に並ぶ魔界宇宙3大学府まかいうちゅうさんだいがくふの1つ、ビーストヘッジ工科大学生物学部の研究棟。ここで飼育されているがこの仙覚草との関連性の答えになるんです。


 カナコ:ある生き物・・・ですか?


 瑠空:では、早速行ってみまょう。


『生物学部研究棟 昆虫エリア』


 マツリソウ:ここ、生物学部には様々なエリア別に研究棟がございます。昆虫エリアもその1つにございます。


 瑠空:ここには数えきれないほどの種類の昆虫が研究のために飼育されています。今回のが居るんです。先ずは原因となるのがアレです。


 瑠空の指差す方には15メートル級のちょうが飼育されている


 カナコ:な、何ですかあの巨大な蝶は⁉︎


 瑠空:あれは夢魔の住む夢幻魔界むげんまかいという次元の狭間にしか生息しない夢見斑目ゆめみまだらという蝶です。あの鱗粉りんぷんには強力な睡眠薬の原料となるほど強い成分が含まれています。


 カナコ:え?でも、貘睡眠症はベルゼバエのによって感染するって。     


 瑠空:そう。貘睡眠症を発見した感染学者はそういう見解だったんですけど、実は貘の体内に居るんです。


 カナコ:そうなんですか?


 瑠空:ベルゼバエを研究していた大昔の昆虫学者ワトソン・ビートル博士の当時の研究論文によると、ベルゼバエは次元を越える能力があるらしく、しかもベルゼバエのはこの夢見斑目の鱗粉だったんです。


 カナコ:ではどうして貘を刺咬をするのですか?


 瑠空:それは、貘の体内に居る寄生虫にある病原性成分と鱗粉が彼等ベルゼバエの栄養源だからです。ですが、病原性寄生虫と鱗粉が化学反応を起こして他生物へ刺咬した時に発症する病気こそが貘睡眠症の正体です。


 カナコ:ではその解決法というのは?  


 瑠空:それはです。


 美味しそうに茶葉を食べる蛾


 カナコ:綺麗な色ですね。


 瑠空:あの子は茶葉生産超大国バイセン共和国に生息しいる茶摘蛾ちゃつみがの亜種で焙煎蛾ばいせんがという昆虫です。茶摘蛾の幼虫の吐く糸は超高級な糸で、1センチあたり1億ヘルネスするんです。


 マツリソウ:ヘルネスは魔界宇宙の通貨で、1億ヘルネスは日本円にして10億円でございます。


 瑠空:この焙煎蛾は茶摘蛾の卵が冥界宇宙で環境に適応するために進化した個体、その鱗粉には夢見斑目の鱗粉とは逆の効果があるんです。太古の昔の作家達は締め切りが迫ると眠気覚ましに使用したという記述があります。


 カナコ:それとこの仙覚草と何の関係が?


 瑠空:そもそも、花の花弁は受粉のために花粉を運ぶ昆虫を寄せ付ける効果が有るんですよね?


 カナコ:ええ、その通りです。 


 瑠空:詳しく調べて分かったんです。仙覚草の花粉と焙煎蛾の鱗粉が混ざるとこれも化学反応でとんでもなく強力な眠気覚ましの薬となり、おそらく当時の医師は花粉と鱗粉の混ざった状態の仙覚草をそれ単体が貘睡眠症の特効薬の原料と考えたのだと思います。


 カナコ:そうだったんですね。


 瑠空:カナコさんが仙覚草の事を教えてくれなかったら、貘睡眠症は難病指定されたままだったでしょう。


 カナコ:い、いえ。たまたま知ってただけですよ。


 瑠空:後は妖凱製薬ようがいせいやく本社に行って特効薬の開発に着手してきます。


 カナコの手を握る


 瑠空:カナコさん、本当に有難うございます!


 カナコ:どういたしまして♪
















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