第29話 貘睡眠症(構造解明前編)

 マツリソウ:人間の皆さんこんばんは、ナレーター兼メイドのマツリソウにございます。幻獣保護区にて難病指定されている貘睡眠症の発症現場に遭遇し、その治療を名乗り出た瑠空るあさん。病気の構造解明をする過程で訪れた警察署で懐かしい方と再会するのでした。


 魔界時間19:06 帝王都サタンヘイルダム司法特区 帝王都中央警察署


 署長:貘睡眠症の過去の事例ですか?


 瑠空:はい、この司法特区で他に無い事例が確認されたとリバイアス国際医科大学の資料にありましたもので。 


 署長:成る程、となればかもしれませんね。


 2人の刑事とすれ違う


 先輩刑事:なんだって!また転移者が⁉︎


 後輩刑事:はい、ワイバニア芸術文化大学が調査中の古代遺跡上空に突如ワームホールが開いてそこから。


 先輩刑事:まったく、今月で何人目だ?


 後輩刑事:署内の応接室でその転移者から詳しい事情をきいてるらしいっす。


 先輩刑事:名前は?


 デバイスの閻魔庁サイトから閻魔帳を開く

 

 後輩刑事:名前は・・・


 瑠空: ⁉︎


 署長:どうされました?


 後輩刑事に詰め寄る


 瑠空:今、ラテ・マリアベルと言いましたか!


 後輩刑事:え?ええ。人間とは思えないはどの強大な魔力を持っていたため、ビーストヘッジ工科大学魔導学部の京都迅乃きょうとじんのすけ名誉教授にお越し頂き魔力鑑定をしているらしいです。


 瑠空:署長さん、その応接室は何処ですか!


 署長:そ、そこのトランスポート使って3階のエリアAにあります。


 瑠空:3階のエリアAですね、有難うございます!


 署長:あ、瑠空院長・・・行ってしまった。


『署内応接室』


 警部:マリアベルさん。これは貴女を元の世界へ戻すための身元確認なので、正直にお応え願います。


 デバイスの閻魔庁サイトから閻魔帳を開く


 警部:ラテ・マリアベル、年齢・・・


 警部の唇を人差し指の先で軽く塞ぐ


 ラテ:レディーの年齢を安易に言うものじゃないわ♡


 警部:し、失礼。人界宇宙出身、数多の魔法理論を発見しその功績が認められ国王直々に王立魔導学院の教員となり、かの勇者パーティーの魔法使い瑠空の師としても有名・・・なんと!あの瑠空総合病院るあそうごうびょういんの瑠空院長の先生でしたか!


 ラテ:あら、瑠空ちゃんをご存知なの?


 警部:知ってるもなにも。感染型精神汚染物質カオスの治療法を発見したばかりか、ワクチン開発に成功した魔界宇宙医学界の英雄です!この魔界宇宙で知らない方がどうかしてますよ。


 ラテ:フフッ、あの子も頑張ってるみたいね♪


『応接室前通路』


 迅乃助:ほな、アテはこれで。


 刑事:ご苦労様でした教授。


 瑠空:迅乃助教授!


 迅乃助:おお、瑠空はんか。どないした?


 瑠空:この応接室にラテ先生が居るって本当ですか?


 迅乃助:先生?ああ、るでぇ。


 瑠空:ロングの、ワインレッドの赤髪で妖艶ようえんな感じの?


 迅乃助:そやで。


 瑠空:その人、母の友人で私の先生なんです。


 迅乃助:ほ〜か、ほ〜か。そらはようてやらんとなぁ♪あの女性ひと自然界神聖魔法理論しぜんかいしんせいまほうりろんを誰から教えられたわけでもなく自力で発見した見所ある女子おなごはんや。アテも感心しとったとこや♪


 瑠空:はい!あ、そうだ。さっき刑事さんから聞いたのですが、先生の魔力量の件で来られたとか。


 迅乃助:せや。ほな、ここで問題や。人は、アテ等魔族の様に魔力を生成する臓器が無い。代わりに、自然界と天界や魔界からの魔力を供給するすべを持っとる。その許容量は肉体の体積に対して何パーセントか分かるか?


 瑠空:あ、それ魔導法医学にもありましたね。許容量は40パーセントです。


 迅乃助:正解や!よ〜う勉強してはるな♪


 瑠空:どうしてそんな問題を?


 迅乃助:それがな、その先生のなんやねん。


 瑠空:どれくらいだったのですか?  


 迅乃助:手持ちの計測機では正確な数値は出ぇへんかったから本格的な装置での再計測が必要なんやが、これがなんと85パーセントだったんや。


 瑠空:は、85パーセント⁉︎


 迅乃助:これは天界の神王や魔界の魔王に匹敵するもんや、この数値を人間が叩き出す時点で異常な事やからな。まぁ、人体に害があるとは思えへん。魔導法医学はアテの専門外やさかい、そこはアンタはんなり、リバイアス国際医科大学で精密検査でも何でもするとええ。


 瑠空:は、はい。


 迅乃助:ほな、またな。


 トランスポートで空間転移してその場を去る


 瑠空:ラテ先生・・・


 警部へ耳打ちする


 警部:何?瑠空院長が?分かった、通して差し上げろ。


 応接室に入る


 瑠空:ラテ先生!  


 ラテ:久しぶりね、瑠空ちゃん♪


 警部:積もる話もありましょう、一旦退室します。


 応接室を出る警部


 ラテ:魔界で病院の院長先生やってるんですってね、元気そうで嬉しいわ♡


 瑠空:はい♪あ、そうだ・・・


 ラテに事の経緯を説明する


 ラテ:貘睡眠症・・・随分ずいぶんと難しそうな病気に挑んでるのね。


 瑠空:はい。それと、先生の魔力許容量の事を迅乃助教授から聞きました。


 迅乃助から聞いた事を説明する


 ラテ:・・・そう。


 瑠空:いつ頃からですか?何か心当たりはありますか? 

 

 ラテ:あら、それは問診かしら?


 瑠空:まぁ、そんなところです。


 ラテ:よくは覚えてないわ・・・ただ。


 瑠空:ただ?


 ラテ:ほら、私達の世界で職業は神託を受けた神官様が神に代わり伝えるでしょう?


 瑠空:そうですね。


 ラテ:思えばあの時を境に私の中の魔力が大量に流れ込んできたのを感じ始めたのよねぇ。


 瑠空:そ、それは本当ですか⁉︎


 ラテ:え、ええ。


 ラテの両肩を掴む


 瑠空:先生、今すぐリバイアス国際医科大学で精密検査を受けてください!もしかしたらその異常な許容量の原因がで分かるかもしれません!


 ラテ:え?


 ラテの手を引っ張り連れて走る


 ラテ:ちょっ、瑠空ちゃん⁉︎


 中編へ続く・・・









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