第17話 奇病!蠱毒融合症

 マツリソウ:人間の皆さんこんばんは、ナレーター兼メイドのマツリソウにございます。皆様は蠱毒こどくなる東洋の呪術をご存知でしょうか?次なる患者様はその呪術の被害に遭われた御方の様にございます。


『5年前 人界時間19:58 アメリカ合衆国 カリフォルニア州 ロサンゼルス郊外』


 ???:Mr.スミス、例の依頼の件だが・・・


 スミスと呼ばれた男が資料に目を通す


 ???:その資料にもある様に、とある秘密結社が東洋の呪術を用いて大統領の暗殺を目論んでいる。


 静かにコーヒーを飲むスミス


 ???:当局はそれを未然に防ぐため、奴等に勘付かれる前にアジトを突き止めた。そこで君にはその組織を壊滅させてもらいたい。


 スミス:・・・


 ???:例によって方法は任せる、そして報酬もいつも通りの口座へ振り込ませてもらう・・・成功を祈る。


 『4時間後 某所』


 ボス:クッ!もう嗅ぎ付けてきたのか!


 スミス:・・・観念しろ。


 ボス:フッ、観念するのはお前だ♪


 取り出し蓋を開けた壺をスミスへ向けると中から大蛇が現れ丸呑みする


『現在 魔界時間15:00 帝王都サタンヘイルダム 医療特区 瑠空るあ総合病院』


 ???:・・・さ〜ん・・・スミスさ〜ん。


 スミス:む?眠っていたか。


 看護師の前に立つスミス


 看護師:今日はどうされましたか?


 スミス:この病院は開業して間もないのに様々な偉業を成したと聞く、俺も治せるか診てもらいたい。 


 看護師:それでは、こちらのタッチパネルに手を当てて3秒お待ちください。


 スミス:(魔界宇宙は科学と経済の発展していると聞いてはいたが、まさかここまで進んでいるとはな)


 看護師:スミス・スネイクさん、種族は・・・えっ!人間⁉︎


 スミス:この姿だ、驚くのは無理もない。 


 看護師:待合室でもう暫くお待ち下さい!


 スミス:あ、ああ。(どうしたというのだ?)


 ネット小説を読むスミス


 老人:小説ですかな?


 スミス:ん?ああ、これか。人間の作家の作品でな、日本の高校生クラス42人が剣と魔法の異世界にレンドという赤法師によって召喚されたという物語だ。カクヨムというサイトで投稿されているから興味があれば読んでみるといい。


 老人:何というタイトルですかな?


 スミス:ふむ、『ポテチってあるの⁉︎』というらしい。


 老人:ほう、ならば今度読んでみましょうかね〜♪


呪怨心霊内科じゅおんしんれいないか


 看護師からデータが送られてくる


 医師:ん?次の患者さんのかな・・・こ、これは!


『院長室』


 モノクルを付けた白衣姿のコカトリス族の老人がお茶を飲む


 瑠空:どうですか?京都教授。


 迅乃助:こら〜、なかなかのモンやなぁ♪


 マツリソウ:こちらの御方は魔界宇宙3大学府の1つ、ビーストヘッジ工科大学魔導学部の教授で、京都迅乃助きょうとじんのすけ様。魔界宇宙魔導工学の権威にございます。


 血相変えて院長室に駆け込む満


 迅乃助:なんや、なんや?騒々しい。


 満:た、大変!とにかくこれ見て!  


 宙に浮いたモニターを簡易スキャンしたカルテを見せる満


 迅乃助:な、何やこれは⁉︎これがホンマに人間かいな!


 満:呪怨心霊内科の医師から送られたやつなんだけど、どう思う?


 瑠空:もう少し詳細なものは無いの?


 満:それは今精密検査してて、そろそろ結果が出る頃だと思う。検査結果が出るまで担当医が問診してる。


 瑠空:分かったわ、私も今から向かう・・・あ、教授。


 迅乃助:アテも行きまひょ、その患者さんならアテの知識が役に立つかも知れへんさかいな。


『呪怨心霊内科 診察室』


 瑠空:患者さんは?


 医師:先程問診を済ませて待合室にて待っていただいております・・.これは、京都教授!


 迅乃助:かめへん、かめへん。それで、検査結果はどないや?


 精密検査の結果を見せながら問診の内容を説明する医師


 迅乃助:成る程な〜。蛇っちゅうトコは違うが、その兄ちゃんの言う東洋の呪術は蠱毒こどくやな。


 瑠空:蠱毒?


 迅乃助:あ、そ〜か。瑠空はんは同じ人界宇宙でも別次元の世界から来たさかい、蠱毒を知らんか。蠱毒っちゅうのは蠱道こどうとも蠱術こじゅつとも呼ばれとる呪術の一種でな、蟲壺むしつぼん中に生きた虫を入れて共喰いさせ最後に残って変異した1匹を呪詛じゅその媒体に用いるモンや。


 瑠空:な、なんか凄そうですね。


 迅乃助:凄いっちゅうモンやないで〜!東洋呪術の中ではとんでもなく危険な部類になるんや。共喰いする過程で呪力の影響を受けて喰らったモンの遺伝子を融合させながら変異体へと変わるんや。精密検査の結果を見る限り、人間の遺伝子に呪力を帯びた蛇の遺伝子が結合しとる。


 医師:治療法は、空間細胞外科手術くうかんさいぼうげかしゅじゅつによる蛇の遺伝子の除去と人間の遺伝子の修復でしょうか?


 迅乃助:ならそれが有効やろうな。


 医師:と、申されますと?


 映像を切り替える迅乃助


 医師:こ、これは⁉︎


 瑠空:これは・・・DNA・・・じゃない!これはだ!


 迅乃助:ご名答、つまりこの患者はんは肉体の遺伝子だけやのうて、幽体遺伝子ゆうたいいでんしの方にも例の蛇の遺伝子が絡み付いておるんや。


 医師:な、なんという事だ!


 迅乃助:こんな症例、アテの知る限り魔界宇宙呪怨心霊医学界まかいうちゅうじゅおんしんれいいがくかいの歴史の中でも初の症例や。成功すれば魔界宇宙医学史に残る新たな偉業、失敗すれば医学界からの永久追放モンや。


 瑠空:・・・・


 迅乃助:どないするんや?


 瑠空:魔界宇宙の科学と経済、そして医療の発展にはこんな言葉を信じて進んだからだと思います。


 瑠空&迅乃助:0%は絶望の数字ではない、未来を信じて挑戦すれば100%の希望の数字となる!


 迅乃助:よう言うた!ならば先ずはこの蛇の正体を探らんとな。


 次回へ続く・・・


















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